JIZE

サボタージュのJIZEのレビュー・感想・評価

サボタージュ(2014年製作の映画)
4.3
"1人ずつ消されていく,最強の9人⁉︎"..まずタイトルの由来Sabotageとは"破壊活動"を意味し報復色強めと事前的に高を括って臨みましたが結果は想像以上のカルト傑作。要は,麻薬取締局DEA特殊部隊の疑心暗鬼を介す仲間達の内紛劇orメキシコ麻薬カルテル壊滅を示唆さす表裏なテーマ性を脅威的にも嘲笑する制作側の思惑が伺えた。ジャンルの種類でもアクションミステリーと異色なバランスで配し感情の起伏もグラグラ揺らぎ善悪の判断(境界線)を鈍らせます。極めて謎解き<報復や復習が全体のブレインを稼働させる印象を受けた。1番驚いた設定が原作のベース,アガサ・クリスティの『そして誰もいなくなった』が元ネタな設定。まぁ確かに,見えない敵から次々と1人ずつ闇雲に惨殺され最後には..だけど閉鎖空間でも殺害動機でも..な為,縛り方がザックリ過ぎないかと原作の設定自体にまず大前提として違和感を覚えた次第です。

結論を述べれば,周囲を取り巻く禍々しさ最高!!が第1印象。度重なるチーム内の疑心暗鬼→乱戦が第2印象。1,000万ドルの行方や妻子殺害による報復心は正直二の次でした。DEA特殊部隊リーダーであるブリーチャーが指揮下に置く仲間達の体裁を整え1人で悩み苦しむ悩ましき素性と妻子殺害による燃え滾る憎悪心。ブリーチャーの"憎めない行動心理"が全てを闇に濁し観客すらも感情移入の余地を閉ざす哀愁と悪態が入り混じる難解な印象を受けた。ミステリーものはネタばれ回避を意識してなので語り口が難しいんですよね。下記に特質し印象深い要因を列挙しました。

仲間達の駄話◎。雰囲気や言葉じり掻い摘んでも彼らの様が既にノアール全開ですよね。要は,プロ同士の荒っぽい会話劇。車内や潜入場所でお構いなしに飛び交う下品で汚い論争や何気ない挨拶。言葉じりが下品で汚い程,親密度の底深さは比例し増し表現し難くも皮肉な集団!!潜入捜査で培うチームワーク力が彼らの絆を磨き現在に至ると考えれば今回の全貌はなんとも皮肉な構図ですよね。

謎解き描写△。犠牲者2人目までは不穏的で許容,以降は偶然に頼り過ぎで期待外れ。また終盤,1秒前まで側に居たあの人が突如...な"あの描写"に残るミスリードも現在軸が歪む違和感を考慮すればプロットの杜撰さは正直否めないレベル。①妻子殺害による報復②1,000万ドル消失③連続猟奇殺人事件,を掻き混ぜた多重構成も真犯人の明確な動機かつ犯行不可能さを自明させ同時に曖昧化。真相解明後に至る犯行自白の終始ん〜な腑に落ちない連続は謎解き映画として大声で駄目!!ですね。ミッシングリンクを介す人物同士の伏線,序盤中盤で十分に張り巡らされただけに非常に残念です。仲間達が次々に惨殺され禍々しさが渦巻き謎解き展開も加速。全体像の充実さを台無しにしたのはラストの動機告白or感情移入出来なささでした。感情移入出来なささは連続猟奇殺人を行う不明瞭さです。色々述べましたが歪み背景!!①全体を覆う不穏さ②実像の見えなさ感③事実の呑み込めなさ感,は禍々しい雰囲気を作品全体に対し促す上で醍醐味を貫き今作の切り札に思えた。

残虐なゴア描写○。前に評したデビットウェアー最新作『フューリー』とは比べるに及ばず数々の残虐死体...肉片の散乱..天井貼り付け..金網溺死..銃殺..カーチェイス等...素っ気なさ故の恐怖さはトップクラスではないだろうか..また,シュワ出演の作品でもやり過ぎぐらいに思えました。ゴア描写が苦手な方は確実に鑑賞をお勧め出来ません!!脳裏に焼き付くエゲつなさは満載です。

あと否定的な見解で,刑事コンビの会話が事件性の核心を外し過ぎな空回り感。血飛沫の過剰放出。連邦議会の役立ちのなさ。まぁ葉巻きを吸うシュワ氏が恰好良いから全て許せるだよ!!っていう施しに上手く調整がなってます。

ブリーチャーの闇を救い出す者は誰1人といなかった..それが全ての引き金だと思えました。。

従い,終盤シュワが言い放つ「家族は殺せるが貴様とは違う..バァン!!」の下りは最高でした。動画サイトで別エンディング版を鑑賞しましたが別版の方が全然突き抜けた感があり誠実な着地に思えた。本編版のラストは謎解き同様なモヤモヤ感が残り物語を終焉させる点で全てが置き去りな為に崩壊してましたが別版を鑑賞後に納得。メキシコ麻薬カルテルものに関心が高まったのでこの映画評で扱う機会があればドンドン扱いたいと思う。シュワ氏も年老い老体に鞭打ち頑張ってました。7月の新作『ターミネーター;新起動』までに鑑賞すべき1本だと強く思います。最後に,上述しましたが前半部の全体を覆う禍々しさ,実態の掴めなさ,事態の呑み込めなさ感は少なくとめ万人に観て頂きたい特質箇所です。ゴア描写も1.5倍速処理で観れば問題なし!是非,お勧めです!!
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