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肖像のgenarowlandsのレビュー・感想・評価

肖像(1948年製作の映画)
3.8
黒澤明脚本、木下恵介監督という夢のコラボ。戦後3年、自由が丘のアトリエ付き住宅から画家一家を立ち退かすのを企み、間借りした不動産ブローカーとその妾ミドリ。純朴な家族と共に暮らし、画家のモデルになることでミドリの中の何かが変わっていく。

「肖像」という切り口は映画で様々に使われている。今まで観たなかでは、災いを呼んだり、魂を抜くような不穏な形になることが多かった。本作は、画家がモデルの内面の美しさ、強さを引き出し、良い方へ転じていく。

多幸感あふれる家族のダンスシーンにルノワールを思い出す。劇伴も楽しい。ネガティブをポジティブに変える家族の力。他愛ない家族の会話は無いものには痛いほど羨ましく感じられたことだろう。

けっして豊かな暮らし向きではないが、人を思いやる心の豊かさで満ちていた。

純朴な人びとと汚れた自分を比べてしまうミドリ。こういう対比が黒澤監督っぽい。構成がかっちりしている。木下恵介監督は対比を変調し新たな物語を生み出す。二人の化学反応がおもしろかった。

強く賢いミドリはどう生まれ変わるのだろう。


🖌️leylaさん、ご紹介ありがとうございました。ミドリの潔さがよかったです。私も木下恵介監督作品観ていきたいです✨
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