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不屈の男 アンブロークンのパンのレビュー・感想・評価

不屈の男 アンブロークン(2014年製作の映画)
4.4
感動した。
第二次世界大戦で日本軍と戦った元オリンピック選手で米軍兵士の物語だ。
走るのが好きな自分は凄く感情移入出来た。

自分はMIYAVIのファンでもなんでもないけどサディストっぽい表情や挙動が抜群に良かった。
実はMIYABI演じた悪役の渡邊伍長は実在の人物でYoutubeに動画まである。喋り方といい確かにコンプレックスが強そうな人物ではあった。
戦後は戦犯として裁かれるのが怖くて山に長いことこもってたらしい(それを出来る根性は普通に凄いと思うが)
ちなみに彼は手記も出してる。
で、捕虜を虐待するものだから同じ収容所にいた他の日本人からも嫌われていたそうだ。

肝心のジャック・オコンネル演じる主人公、ルイス・“ルイ”・ザンペリーニの証言は色々検証していくと結構ずれてたりするらしい。
ただ爺さんの昔話と考えたら部分的に間違ったりするのは無理ないと思うけどなあ…
人間は細かく全てを記憶できるわけじゃないんだから。
あとオリンピックまで出た人が大嘘つきだとは俺は思えない。
多少映画的な脚色はあるもののほぼ実話だろう。

冒頭の爆撃機パートも凄まじい映像で第二次大戦の空中戦の恐怖が良く描かれていた。少し前に公開してたミッドウェイよりよほど良い出来。

ただこの映画は捕虜になってからが本番だと思う。
漂流シーンがいくらなんでも長すぎる。そこは短くして欲しかったな。
重い木材を持ち上げるシーンは鳥肌立つくらい良かった。
あそこがこの映画のピークだよね。

それにしても一体どこが大騒ぎされたほどの反日映画なのかさっぱりわからない。
日本軍の捕虜は全員5つ星ホテルに泊まれてメイドでも付くと思ってんのかな。戦争中に。
日露戦争の頃と違って捕虜を優遇する余裕が最前線にいるストレスだらけの将兵にあるわけないことくらい少し想像力を働かせたらわかりそうなものだけどな…
何なら戦争なんてしてなくても虐待や虐めなんて毎日日本で起きてるのにね。学校でも家庭でも。

この程度の内容で反日だとか言ってるバカは日本人全員が聖人君子だとでも思ってんのだろうか。
平和な現代ですら自国内で毎日のように犯罪が起きてるのに何で戦時中の日本兵は清廉潔白な模範的人物しかいないと思えるんだろう。
どういう思考回路?

中学時代を想像して欲しい。たった30~40人の生徒ですらそれぞれ全然違う性格をしていたではないか。
どうして陸海合わせて300万人以上もいた日本軍が全員ロボットみたいに一律で同じ性格だと思えるんだろう…
そりゃ良い奴も沢山いるし悪い奴も沢山いるという話だ。

この程度でわざわざ公開中止だとか言って大騒ぎしてるから日本じゃオッペンハイマーの公開日すら中々決まらないのだろうな。
ところでこの映画の原作では日本兵が人肉食う描写があるらしい。
映画内にそんな描写はないものの、公開前にこの映画が騒がれていた理由の一つがそれだ。
だが小笠原事件のように余興で捕虜の肉を食べた実例もあるし、ゆきゆきて神軍で元日本兵が語ったようにレイテ島でも人肉を本当に食べ生き延びたようなケースもあるだろう。
だったらあながち大嘘でもないと思うんだよなあ…
俺は原作読んでないが。

まあ日本人が少しでもマイナスに見えるようなものには過剰反応する頭の悪い人間がいるということだろう。
こういう人種こそ真に日本の恥だと俺は思う。
アンジーは素晴らしい仕事をした。
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