【戦争映画と言って欲しくない】
近ごろ特に世界情勢の不安定さが増し危機感を抱いている。日本もかつて自分たちが行った事を考えれば。他人事で片付けではいけない。
太平洋戦争では加害者であり、かつ原爆などの被害者でもある日本人こそ戦争と向き合うべきではないか。
などと最近思う中で8月に戦争を振り帰ろうと本作を鑑賞。
そんな思いで観たらちょっと違うかった。作品としての評価云々より、自分が求めてイメージした内容ではなかった、という感じ。
戦争という極限状態で人は狂気に陥ってしまう。それはわかるのだが、本作は戦争を描いているというよりも極限状態に陥るキッカケとして戦争が用いられている。
戦時下は平時では無いので狂うのは当然だろう。即ち極限状態を描くために戦争をモチーフにすること自体が安直ではないのか?などと思う。
戦争映画として求めていた内容でなかった事、安直に狂気の原因として戦争を扱っていた事、この2点で刺さらなかった。描くべきテーマとしては凄くいいので、この二つをもっと上手く噛み合わせる事って出来たと思うのだが…。
戦争という異常時の狂気を描いた作品なら『将軍たちの夜』は必見。本作とは全く違うテイストで違うアプローチなのだが、そういう狂気の描き方の方が私には訴えてくる。
『野火』、原作の小説はもっと深いのか?残念ながら本作を観ていなければ原作に興味を持ったかもしれないが、本作を観たら原作はもういいかと思ってしまった。
死屍累々、そんな映像を見ても戦争を知らない私たちにも戦争の悲惨さは伝わってこないんです。