【これほどわかりやすい作品なのに】
2で世界チャンピオンになったロッキーは防衛を重ね一躍人気者となり、富も名声も手に入れる。勇退を考えていたロッキーは、野獣の様な新進気鋭のボクサー、クラバーから挑戦状を着き続けられ、再度リングに上がる。だがハングリーさを失ったロッキーはクラバーの敵では無かった。
お馴染みのエイドリアン、ポーリー、ミッキーが持ち場でいい仕事しているが、やっぱり本作は前2作でライバルだったアポロ・クリードとの友情が秀逸。
グローブを交えた者同士にしかわからない尊敬と友情。この関係はロッキーとアポロでしかあり得ない。
ストーリーは全く思う様に進んでいく。普通ストーリーが読めるなんてつまらないはずなのだが、逆にそれがいい。観ていてこれほどの安心感を感じられる作品はそうそう無い。
シリーズを通じて人の優しさが溢れている。それも社会的に弱い人間の中にある優しさが。だからみんな『ロッキー』を観る。
冒頭のポーリーとロッキーとの絡みでそれが見事に表現されている。意地を張るポーリーとそれを暖かい包むロッキー、地味なシーンだがあれ一発でロッキーが優しい人間って事が見事に表現されている。
ロッキーに傷がつかない様に配慮するミッキー、ロッキーに火をつけて闘争本能を呼び覚ますエイドリアン、一緒に戦うアポロ。
複雑なストーリーなんていらない、ただただ彼らの物語を応援するだけ。