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前科者のlarabeeのレビュー・感想・評価

前科者(2022年製作の映画)
4.4
【森田剛、映画史上に残る「最優秀鼻水大賞」受賞作品】

少し複雑なストーリーになると理解が追いつかなってきた今日この頃、これはシンプルでわかりやすいストーリーで観やすかった。にも関わらず、深いテーマをしっかりと描いていて見応えもあった、満足。

前科者とそれに寄り添う保護司のお話。犯罪行為は決して許されるものではないが、環境や周りの人間に恵まれていないだけで、そしてちょっと弱い心を持っているだけで犯罪者になってしまった人がいる。

そんな人の更生を手助けする保護司の仕事はとても素晴らしい。有村架純演じる佳代はコンビニで働きながら無報酬の保護司の仕事に全力で取り組んでいる。

彼女にも保護司の仕事をするキッカケの事件があり、殺人の前科があって保護観察中の工藤(森田剛)にも、やりきれない過去と現在がある。

最近、抽象的な描写で解釈に委ねる作品も多い中、本作では佳代や工藤の過去と人物像をしっかり描いているので、彼らがなぜこういう行動を取るのかスッと入ってくる。観ていて全部腑に落ちる。

人間の弱さに向き合い、人間を信じる事の大切さを保護司という尊い職業を通じて、その大切さを感じさせてくれる作品だった。

地味なビジュアルでひたむきに生きる保護司を女性を演じる有村架純、不器用だが優しくて弱い人間を演じる森田剛、二人の演技が作品の完成度を高いものにしてくれていた。
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