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野火のgogotakechangのレビュー・感想・評価

野火(2014年製作の映画)
4.6
戦場で起こる全てのことに善悪など関係なく、ひたすら地獄の沙汰である、ということ。見たくも無いものをみせつけられ、終始銃弾に脅かされ、他人を全く信じられず、腹を下しても食べられそうなものはとにかく食べる。それはすなわち、生きるため。そこには上官も国家も陛下も、家族も何もない。モラルこそが最前線で一番の重荷なのだ。

ただ、どんな状況であれ一線を越えてしまった過去を拭い去ることはできない。死ぬまで固く封じなければならなくなった心が病まない訳がない。

戦争は人を狂わせる、最中も、その後も。

それを知っている人達が、もうすぐ日本から消え失せてしまう。

だからこの作品が出現したのだろう。
戦争の中の愛と平和を美しく描くことに激しく抵抗した、真の反戦映画だと思う。
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