彼女は夢を見た。
夢はつねに過去形でしか語られない。
夢はしばしば、もっとも現実のようなものだ。
では、この作品の最後で、しましまのタイツを履いて飛び跳ねる彼女は、なぜあんなに溌剌としているのだろうか?
夢を見ているからだろうか?
いや、違う。彼女にとって、夢は過去のものだ。
彼女は予感でいっぱいなのだ。期待に胸を膨らませているのだ。彼女は、未来を夢見ているのではない。未来への期待に胸を膨らませている。
「果敢に生きろ。落ち着いたりするな。シマシマの足を誇れ。きみの溢れる可能性が花開くきっかけになったら嬉しく思うよ。それじゃお別れだ。君は心に刻まれてるよ。君と初めて会った時から、可愛い笑顔と奇妙な服とクサいジョークと感情を隠せない素直さで。僕を焦がれるな。悲しんでほしくない。健やかに生きていけ。僕は君と共にいるから。君のウィルより。」
「夢を見た」と言うには、夢から醒めていなければならない。
(『待つということ』)