このレビューはネタバレを含みます
***あらすじ
ルイーザクラークはオシャレが大好きな26歳。ある日、6年務めたカフェが閉店し新たな仕事を探す事に。
新たに見つけた仕事は、事故で首から下が動かなくなったウィルトレイナーの介護兼話し相手だった。
最初は頑なに心を開かないウィルであったが、ルーの素直さ、明るさによって変わってゆく。
仕事上の関係であったふたりはいつしか、友人そして愛する人へと変化していった。
しかしある日、ルーはウィルの計画を知ってしまう。
それは、「半年の期間が終われば、尊厳死を選ぶ」というものであった。
ルーは彼に思いとどまって欲しく様々なプランを練り、ウィルを演奏会や旅行に連れ出すが、結局彼の決心は変わらなかった。
絶望したルーは旅行から帰還するとすぐに家に帰ってしまう。
ウィルがスイスへ尊厳死をしに発つのも見送りにすら行かなかった。
しかし、悩み苦悩し、考えた結果彼女はスイスへ彼の死を見届けにゆく。
「あなたが望むなら」と、互いによく言っていた2人。
最後に交わしたキスは、互いに離れ難く非常に印象的なシーンだった。
彼の死後、パリのカフェテラスでウィルからの手紙を読むルイーザ。
ウィルが言っていたテラスでコーヒーを飲み、手紙に君に似合うと書かれていた香水を買い、1人でパリの街を歩き物語は幕を閉じる。
本当は彼と一緒に来たかったはずであるが、笑顔で街を歩くルイーザ。
きっとここまで沢山泣き、悲しみをその輝く笑顔や強さに変え、夢に、そして未来に踏み出したのであろう。
「僕はいつもそばにいるよ」と彼が手紙に記してくれていたから、きっと彼女は大丈夫。
ルイーザの心の豊かさ、美しさ、互いを変えていった二人の関係性、そしてウィルとのひとつの愛の形に涙が止まらない映画でした。
***感想
ルイーザの心の豊かさ、素直さ、底抜けに澄み渡るほどの美しさは、どのヒロインも敵わないと思う。
彼女のような女性になりたいと切に思った。
「君が望むなら」劇中で何度もでてきたこのウィルとルイーザの言葉に、愛とはなにか全てが凝縮されている。
尊厳死を全面的に肯定したくはないが、愛する人の決断を、相手がそう望むのなら例え死でも受け入れる姿。
自分ではどうしようもない現実に立ち向かった末にウィルが出した決断は、ルイーザが望む未来とは違っていたけれど。
葛藤し時に絶望しながらも最後には愛を持って送り出すルイーザの姿に涙が止まらなかった。
事故がなければ絶対に出会わなかったし、まして愛し合うこともなかった2人。
皮肉な現実だ。それでも2人は愛し合った。
作中様々な場面で描かれるウィルとルイーザの、そして両親それぞれの愛する形が胸に焼き付いた。
私はもし愛する人が尊厳死を選ぶなら肯定して送り出してあげることができるだろうか。
きっと、そうすることは凄くすごく難しい。
だが、「君が望むなら」とあたたかく愛を持って送り出すのも、ひとつの愛なのだと思う。
最後のキス、葉が舞い散り落ち葉のひとつとして消えてゆくシーン、ルーが1人で手紙を読み、パリの街をしましまの靴下を履いて歩くラスト。
全てに涙が止まらなかった。
嗚咽になり過呼吸になるほど感情が溢れ、ただひたすらに「ウィルがいない」現実に涙した。
笑顔でカフェ店員に応えるルーはきっと、そのパリの街を愛する人と歩きたかったはずだし、一緒にコーヒーを飲みたかったはず。
彼女があんなに素敵な笑顔でパリを歩いているのは、きっとそこに辿り着くまで沢山悩み、努力し、絶望し、彼の死を見届け、沢山沢山泣いた過去があるからだと思う。
「君に似合う」と選んでくれた香水、彼の手紙、そして焼き付く彼との思い出。
その悲しみを生きる力に変えて、彼女は背筋を伸ばし、夢に向かって歩んでいくのでしょう。
彼なりの精一杯の愛情表現の形、本当に涙が止まりませんでした。久しぶりにここまで嗚咽しました。
ハッピーエンドではなかったかもしれないけど、ひとつの愛の形を教えてくれて、私はこの映画が大好きです。
***ことばメモ
「愛というのは、自分の経験や考え、感情を自分以外の誰かと分かち合うことだと思う」サム・クラフリン
You only get one life. It's actually your duty to live it as fully as possible.
I'm not really telling you to jump off tall buildings, or swim with whales or anything (although I would secretly love to think you were), but to live boldly. Push yourself. Don't settle. Wear those stripy legs with pride.
