KnightsofOdessa

休日のKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

休日(1968年製作の映画)
4.0
[韓国、日曜日の男女と煙草の火] 80点

傑作。初イ・マニ。一文無しの青年ホウクは毎日曜日ごとに恋人ジヨンを会っていたが、その日はジヨンの妊娠を知って堕胎手術のために金を借りようと友人たちを訪ね歩くことに。金が無いのでカフェなど屋内で時間が潰せないジヨンは、ホウクから貰ったコートを片手に屋外で彼を待ち続けるわけだが、土埃を纏った風が今にも彼女を吹き飛ばしそうな勢いで吹いている。ホウクは小金持ちの友人から金を盗んでジヨンを手術に送り出し、完了を待つ間バーに入って他の女と飲み明かす。ホウクは煙草を買う金すらなければマッチも持ってない。冒頭で煙草をせしめたホウクは、毎度煙草を取り出してはマッチを探すという行為を繰り返す。恋人ジヨンは煙草を吸わないのにマッチを持っていて、ホウクが毎度同じことをしていることが分かる。しかし、それなら最初からジヨンにマッチを貰えばいいわけで、なぜジヨンの横でも初手でコートの内ポケットを探ろうとするのだろうか?後半でジヨンのことを完全に忘れたかのように他の女と酒を飲んでることからも、ホウクはマッチを持ってないことを毎度忘れているように思える。それは毎日曜日に会うという不連続性にも繋がっているだろう。そういう奇妙な非人間的側面が変なホラー映画よりも怖かった。

途中で一箇所ロバート・アルトマンみたいな謎ズームがあったけど、本作品の上映禁止が解けた2005年に公開されたホン・サンス『映画館の恋』と比較すべきという評を読んで納得してしまった。
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