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キャロルのtomひでのレビュー・感想・評価

キャロル(2015年製作の映画)
4.0
キャロルがテレーズの肩に初めて手をかけるシーン、テレーズにピアノを弾かせる演出が素敵。このシーンの何気ないセリフとカメラワークからお互いが精神的な距離を計っている様子が覗えてとても面白い。肩に手をかけるという動作はこの映画では気持ちの揺れの起点になっているのですが、過剰に演出していない所も更に良い。

またエドワードラックマンの撮影がかなり良い。画面の構図のとり方がとても大胆で面白い。画面の一部だけに見せたい対象を配置して観ている人の意識をそこに集中させる画面構成がとても好き。キャロルがテレーズの部屋を初めて訪れるシーンなどは特に効果的。ラストシーンの手持ちの移動撮影も画面の揺れと二人の気持ちの揺れとが重なってとても巧い表現になっている。

「何も知らずノーと言えない、望みが分からないのに全てにイエスと…」
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