賽の河原

ドクター・ストレンジの賽の河原のレビュー・感想・評価

ドクター・ストレンジ(2016年製作の映画)
2.6
IMAX3Dで鑑賞。マーベル弱者です。感想としては「IMAX3Dで観てなかったらキレてる」という感じ。
というのもやはり予告とか観に行った人の感想でもあるけどビジュアルの凄さは半端じゃない。インセプションとかハリーポッターとかマトリックスとか2001年宇宙の旅とかを思わせる魔術のシーンの迫力は圧倒的。
上に挙げたような映画は例えばインセプションならエッシャーの階段とか街が折れ曲がったりを見せてたんだけれども、この映画ではそこでアクションをさせるから観たことのないシーンの連続で「スゲー!」って感じ。
一方で脚本とか演出は穴だらけというか雑じゃないですかね。続編もあるだろうからアレなのかもしれないけれど、1本の映画としてはお粗末なんじゃないでしょうか。
まずこの映画のストーリー的な肝は、俗で利己的な主人公が、利他的なヒーローに成長するっていう話なんじゃないの?という。その割に主人公が利己→利他に変わる物語的なトリガーが弱いっていうか、観てて分かりにくいから感情移入できない。
「お前がサンクタム守ったのは自分の命を守るためだ!」的なことを主人公が言われるシーンが中盤にあったけど、最後までみても主人公は「他にやってくれる人おらんからワイがやるわ」みたいな感じにしか見えないから所謂「利他」にも「ヒーロー」にもなれてなくね?っていう。結局何故手は治癒したのに以前のように医者として自己実現を追わなくなったのかよく分からない。誰か教えてください。
あとマッツミケルセン、なんであんな闇堕ちしてるの?w 背景仄めかしてはいるけど演出が雑。こういうところの演出を大雑把にして上映時間をコンパクトにするのは頂けないでしょ。分かってる観客はちゃんと高い金払ってIMAXとか3Dで観てるわけなんだからさ。その分ちゃんと楽しませてよっていう。
マッツミケルセンの末路も悲惨すぎでは。重力歪ませたり色々出来るのになんで主人公倒せねーの?なんか誰がどの程度魔術が使えてそれがどのくらい強いのかとかのラインが見えないから映像的に凄くても全然「あっ、そうなるんだ...」って感じ。
結局のところSWにおけるヨーダ無能説的なアレに近いんだけど、そういうフォース的なダークサイドをキチッと教えたり伝えきれてない師匠が無能なだけじゃんって見えちゃう。そういうの誤魔化すセリフ入れて釘刺すのは結構だけど次作の悪役の彼も師匠のマネジメントが悪いからでしょ。彼よりも主人公の方が重用されるのも謎だし、主人公が魔術を上手くなる背景も描かれてないから脳内補完してやらないと見られたもんじゃない。
あとはコミカルな笑いの部分、正直心の底からニヤリと出来る笑いはなかったっす。劇場で「あんまり面白いとは思わないけど、一応言ってるネタの意味は分かるから笑っておくよ」って笑いをするのは、やらなきゃいいんだけど、苦痛です。
IMAX3Dで観てなかったらキレてるっていう感想、IMAX3Dで観てるゆえに逆説的に課金額が増えてるので複雑な心境になる映画でした。ソフトや配信で見るのは自殺行為と思うので劇場で観るしかないですね。
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