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博士と彼女のセオリーのHIROのレビュー・感想・評価

博士と彼女のセオリー(2014年製作の映画)
4.3
天才物理学者スティーブン・ホーキング博士(エディ・レッドメイン)の半生と、博士を支え続ける妻ジェーン(フェリシティ・ジョーンズ)との愛情を描いたお話。

非常に面白いお話でしたね♪( ´▽`)

学生時代に余命2年を宣告されたものの、70歳を過ぎた今でも健在なホーキング博士。
だんだんと身体が動かなくなり、黒板やノートに字が書けなくなる姿は見ていて辛かったですね。
ペンと紙を使って理論を証明しないといけないのに、それができなくなるという悲しみや辛さは計り知れない。

そんな彼の学者の部分を描いてるかと思えば、実は妻ジェーンとの関係を描いていまして。
始めはそれはそれはロマンチックなラブストーリー。
クラブで出会った瞬間からお互い一目惚れ。
ジェーンがホーキングの掛けているメガネを取って、「あなた、いつもメガネ汚れてるわね」って言いながら、自分の服でメガネを拭いてくれてそのままキスをするというスーパートキメキシーンもご登場。もう本当に2人の恋模様は微笑ましかったですなぁ♪( ´▽`)

そんな愛に溢れたお涙頂戴難病ストーリーかと思えば、実は上手くいかない夫婦の物語なんですよね。

ただひたすらホーキングを支えるジェーンの姿がメインでした。
子育て、家事、そしてホーキングの世話。自分の時間なんか当然あるはずもなく、もはやホーキングのためだけに生きているように見えてしまうというか。

彼の病気を承知で結婚したのはジェーンなわけだからもう文句なんかは言えないわけで。
それに引き換えホーキングは研究ばかりだし、ユーモア溢れる人柄なので常にふざけてるから、彼女のイライラはよく分かるわけですよ。
我慢できなくてブチ切れてみたものの、ホーキングは子供に「ママがキレてるよ〜(^o^)」とノー天気。この男は本当にダメな奴だと思いますよ。

学会では神レベルの理論を唱えているわけだけど、家庭ではただの男に過ぎないというか。
難しい理論の証明はできても夫婦間の問題は解決できないんですよね。

しかもジェーンは聖歌隊のジョナサンに、ホーキングは世話係のエレインにそれぞれ惹かれてしまう。
もうここは本当に辛かったですね。
永遠の愛を誓ったはずなのに、この展開は唖然ですよ。
しかも病気が2人を隔てたわけではなくて、男女のすれ違いがこういう結果を招いてしまったというのは、何ともやるせないですな(´Д` )
ただ、ホーキングはともかくジェーンのことは僕は責めれないですね。
自分の時間を削ってまで、ホーキングの世話をしていたジェーンにとってはジョナサンは心の拠り所になっていた。
彼女の現状を考えると彼のことが好きになってしまっても仕方ないのかなぁと思ったりしましたね。
そして、ホーキングの米国へ行くことに関してのある決断はあまりにも残酷でジェーンが本当に可愛いそうでしたよ。
ホーキングに尽くしてきた今迄の人生は一体何だったのかと絶望してしまいました。


ホーキングを演じたエディ・レッドメインは流石でした!
徐々に身体が衰えて行くところの演技は凄まじくて、最終的には声も出せない、身体も動かせない、ほとんど目だけの演技で、相当壮絶な役作りをしたことが伺える。
その姿は本人にそっくりで、アカデミー賞受賞も納得でしたよ。

そしてフェリシティ・ジョーンズの演技も素晴らしかったです!神経が蝕まれていく演技は最高でした\(^o^)/

この作品の中で最も美しいと思ったのは巻き戻しのシーン。
宇宙の膨張を巻き戻していけば始まりはあるひとつの特異点。
それと同じようにホーキングとジェーンの壮大かつ壮絶な半生を巻き戻して行くと始まりはクラブで出会ったところ。
ここから全てが始まったわけで、それこそジェーンのおかげでホーキングの数々の理論が生まれたわけなんですよね。
2人にとってそのクラブでの出会いこそ全ての特異点。
特異点がきっかけで宇宙が膨張していくように2人の愛情も膨張していったし、その愛情は色んな形で存在し続けているはず。
2人がどんな関係になったとしても2人の間には深くて固い愛情で結ばれていると信じたいです。



2015-68
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