月うさぎ

オデッセイの月うさぎのレビュー・感想・評価

オデッセイ(2015年製作の映画)
4.0
リドリー・スコットのSF大作。
面白かったです。たかが1人の人間を救うためにここまでの犠牲を政府が払うもんかい???というのは置いておくならば。

原作はアンディ・ウィアーの大ヒット小説『火星の人』ということで内容的にも手堅そう。
でも私が一番心を惹かれた理由は、デヴィッド・ボウイの SATR MAN が挿入歌になっているよという先輩からの情報なのでした。
ボウイっつったら火星でしょう!ということで。(⌒▽⌒)

火星探索隊がアクシデントに見舞われ、火星にたった一人置き去りにされた植物学者のマーク。
絶望的な状況から生還を信じ、科学の力でサバイバルを敢行。

冒頭にかなり痛いシーンがあったものの、全体的には主人公マークの前向きな明るさや、女性キャプテンのルイスの趣味だという70年代のポップ&ロックのノリで悲壮感はほとんどなく、宇宙賛歌をベースに同胞愛が描かれる。
「ゼロ・グラビティ」のドシリアスの全編緊張感みなぎる映画とは対照的な作りです。

何よりも「孤独」とは一人でいる状況ではないのだということ。
コミュニケーションの有無によって人間は孤独から救われるわけで逆を言うなら通信の断絶は人から生きる望みを奪うといえるでしょう。
「ゼロ・グラビティ」でも「月に囚われた男」でも圧倒的な孤独が主人公に課せられていたことが苛酷さを際立たせていました。
「インターステラー」よりもこの2作を意識して制作されたのはではないかと思います。
特に「月に囚われた男」に、音楽の入り方とかキャプチャーの入れ方がとても似ています。
もちろん「月に」とはお金のかかり具合が段違いで、映像のスケールは断然本作が勝ります。
ハリウッドの良くない所は営業先の国に忖度することさ。要するに中国。はいはい。

第73回ゴールデングローブ賞で、コメディー/ミュージカル部門で作品賞と主演男優賞を制したというニュースには、なぜだ~?!と思ったのですが…ハッピーエンドならなんでもコメディというのはやめた方がいいよね。
言われてみれば、コメディと言えなくもない…かもしれないし、ミュージカルではないけれど、音楽にストーリーやセリフを代弁させているといえなくもない…かもしれない…??

ではどういう音楽がどういう意味で使われていたのか?

最高なのはやはりこの曲。
"Starman"  David Bowie (1972)

There's a starman waiting in the sky. Hed like to come and meet us.
火星で待っているマークのために、いよいよ動き出すという希望にあふれるシーンで。

"Hot Stuff"  Donna Summer (1979)
火星の極寒をしのぐ方法を発見!

"I Will Survive"   Gloria Gaynor (1978)
エンディングテーマ 

このほかにもディスコソングが多数
"Turn The Beat Around"  Vicki Sue Robinson (1976)
"Rock The Boat" The Hues Corporation (1974)
"Don't Leave Me This Way"  Thelma Houston(1977)
"Waterloo"   ABBA / アバ (1974)


映像もすごくよかったし演技もよかったし、でも音楽のチョイスにも注目してほしい。
映画ってきちんと味わうと、見どころがいっぱいあるんですね。
月うさぎ

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