サッチャー政権下の炭鉱労働者ストライキ。彼らの闘いに共感した、同性愛者たちが、ストライキを支援することを思いつく。その柔らかな発想と、行動力に励まされる。
LGSM
Lesbians and Gays Support Miners
同性愛者たちへの偏見と差別が強かった時代。
LGと聞いただけで、ほとんどの炭鉱労働者組合から支援を拒否される。それでも屈せず、支援の受け入れ先を探す。偶然の出会いが、強い連帯へとつながっていく。
「ゲイの人に初めて会ったよ」と驚きながらも、LGの人からの支援に感謝する労働者組合の代表者。彼がゲイバーのステージから語るスピーチが、胸を打つ。会ったこともない人からの応援。それだけで闘う人たちを励ませるなら、応援する気持ちを伝えなくては。
炭鉱の町。LGに対する偏見の強い人たちが大勢いるなかで、いち早く心を開いていく、おばちゃんたちが豪快で頼もしい。
「罵られた時こそ、利用するんだ」
ヘンタイと呼ばれても、注目されたことを運動の糧とする。確かに、多様性を尊ぶ社会となれば、「ヘンタイ」は、むしろ賛辞だ。
原題はPRIDE。マイノリティであるからこそ、強く握りしめていなければならない誇り。大きな権力に屈しないためにも、決して手放してはいけない誇り。この映画のメッセージを端的に鋭く伝えるタイトルだ。
だけど、「バレードへようこそ」という邦題もすばらしい。
中盤で歌われる、「パンと薔薇」という歌が心に沁みる。物質的な豊かさと、精神的な豊かさ。パンのためにも、薔薇のためにも、小さな一歩でも踏み出して、前進していきたいと願う。
80年代ファッションに、ディスコ・ミュージックも楽しい。笑って泣けて、温かい気持ちに満たされる。大好きな映画。
かなり、えぐえぐ。でも、とても心地よい、えぐえぐです。
Solidarity Forever!