TAK44マグナム

ストレイヤーズ・クロニクルのTAK44マグナムのレビュー・感想・評価

2.7
極秘の実験によって生まれた特殊能力を持つ者たちの戦いと運命を描くSFアクション。

原作小説は未読です。

まずはキャスト表をご覧いただきたい。
いまをときめく話題の俳優さんたちがキラ星の如く多数出演しております。
そんな彼らの誰もが熱演していることは伝わってきます。
染谷将太の「人間どもが~~!」というドスの効いた格好いい台詞も、使いどころがちょっと違うと思いつつも演技自体は非常に大真面目です。
でも、そんなキャスト陣の頑張りを最高にぶち壊している演出や構成や編集は一体なんなのでしょうか。
劇中でいきなり場違いにかかる主題歌の使い方はなんなのでしょうか。
さっぱり理解不能な登場人物たちの行動原理はどうなっているのでしょうか。特に目立って主人公と悪役がおかしいので、支障のきたし方が半端ない。
場面転換や場所の移動も、観ているこちら側の感覚がおかしくなるぐらいに変なので、観ていてどうにも座りが悪いというか、気持ち悪くなります。

これは原作からしてそうなのだろうから仕方ないのかもしれませんが、主人公の属するチームスバルと、敵となるチームアゲハの戦力差が大きいのも気になりました。
実戦向きの能力を持つのが、チームスバルには主人公含めて三人いますが、一人はアゲハと遭遇する前に早々とリタイアしてしまうし、もう一人は敵にも同じ能力を持つ者がいて尚且つ敵の方が戦いに長けている為にほぼやられ役になってしまっています。
こんなんで互角に戦えるのかと思いきや、実際のところドラマのベクトルがまったく違う方向へ向かっていくので、それはそれで戦力差があろうがなかろうが結果的には問題ないのですが・・・

てっきり、特殊能力者たちの派手なバトルが展開されるのかと思ったら、中盤からは能力を持ってしまった者たちの哀しい青春群像劇にシフトしてゆき、後半は理解に苦しむ超展開をかましてくれます。
誰もかれもが突拍子もない行動にでるので、頭でハテナマークが踊っていると、平和そうな公園でとんでもなくどうでもいい小芝居が始まり、何の盛り上がりもなく終了してしまってどうしようかと思いましたよ。
現代の日本人がいかに他人に無関心かという問題提議は良いですが、さすがにあれは変でしょ。拳銃もってるオヤジがベンチに座っていたら、誰かひとりぐらいは気が付くんじゃないですかね・・・(汗)
観たら分かると思いますが、これを観てほしいとオススメするのはどうにも気が引けてしまうので、正直観なくてもいいです(苦笑)。

ただ、惜しい気もするんですよね。
能力者たちが次々と倒れてゆくのは切ないし、本当はもっと熱くなれて、そして哀しくなれるはずなんです。
必要のないシーン(特に会議場ジャック事件。伝えたいことは分かるけど本筋と関係ないし蛇足すぎる)は思い切ってカットして、そのぶん充分な尺をとって登場人物をちゃんと描けていれば化けたような気もします。
何をどうしろとは素人なので言えませんが、その素人がみても登場人物たちの訳の分からない右往左往ぶりは本当におかしいので、そこらへんも整理整頓をしてほしかったところです。
物語上、重要なキーポイントである悪役の持つ思想についても唐突だし、意味不明。ただのテロリストになってしまっているうえに、スケール感が皆無なのでショッパイ雰囲気だけが漂ってしまう始末。
どうにも説明が足りていないので、どうしてこの人は殺されたの?とか、どうしてこの人がこの人の車に乗ってきたりするの?とか、何となくは分かるけど、こちらが想像で補わないと理解が出来ない事が起こりすぎるので困りますよ、マジで。

チームアゲハも復讐のために殺人を犯しているなら、最初の臓器売買組織襲撃も、悪徳代議士襲撃とかにしておいたほうが目的がより明確になったんじゃないかな。

最大のウリであるはずの特殊能力の表現もまだまだといった感じなので、やはりこういった系統は日本ではアニメが一番なのかな・・・と、実写SFの奮起を願いたくなってしまいました。
なんだかんだ文句を言いつつも、いつも期待して、ハリウッドを超えるような魅力あるSFアクション映画を待っているのですがね・・・。

最後に一言。
火あぶりのシーンで、「(灯油を)かけすぎだよ」と言われて、謝りつつも更にかける主人公。
鬼畜すぎ(苦笑)!


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