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セッションのkaitoのレビュー・感想・評価

セッション(2014年製作の映画)
5.0
デイミアンチャゼルは天才だと確信した。

この映画、ぶっちゃけ二回目です。高校二年生の頃かな、お父さんが観てるのを横目にチラチラ観ていたくらいなんだけどしっかり観ようと思い鑑賞。
結論から言ってオールタイムベストに入る作品間違いないです。助演男優賞を受賞したJ.Kシモンズの演技が素晴らしかったのはもちろん、主演のマイルズテラーが本当によかったです。彼の心からの執着を感じました。こんなにも観てて気持ち良い映画は久しぶりです。そしていっそう真剣にレビューしたくなる映画も久しぶりです。文句なしで5.0、どんなに模索しても欠点が見つかりません。

冒頭は暗い廊下からゆっくりズームで撮影されており、ニーマンがドラムをたたいてるのが見られる。そこにJ.Kシモンズ演じるフレッチャーが現れる。
映画全体的に、いらないシーンなんてなかったと思う。ニーマンがフレッチャーに出会うまでの過程なんて正直興味ないし、ニーマンの最初の接した方からフレッチャーの偉大さは伺える。
フレッチャーは罵倒しまくり、言葉は汚い。皆誰もが彼を嫌いになると思う。引き込み方がうまい、デイミアンチャゼル。これでより観客の目はニーマン側になると思う。全体的にも、この映画がニーマン目線で進むのでなおさらそう。
でも映画が進むにつれて、フレッチャーの昔の教え子が亡くなったという話を聞かされたり、フレッチャーが子供と接している姿を見せられる。あんなに凶暴だった彼の、人間味溢れる一面を見せられることによって、フレッチャーに少し惹かれる。これは映画の中のニーマンも同じことを感じているに違いない。人間味溢れているといえば、ニーマンもそう。話しかけたくても話しかけられなかったニコルに対し、フレッチャーから「うちのクラスに来ないか?」と言われた後にニコルをデートに誘う。鬼教官に認められ、気持ちが高揚しているその勢いで行動する彼はなんか愛くるしいし、好感を持てる。ライバルに主奏者を取られそうになったり、事故にあっても血だらけで会場に向かうなどドラムへの熱が高まっているのも肌で感じられた。登場する父親もニーマンに対しては優しく接しているのだけど、ニーマンの全てを理解できてるわけではなくてそれも現実味があってよかった。最後のシーン、言葉でなんと言えばいいかわからないほど素晴らしい。ラストあたりフレッチャーがニーマンに問いかけてるように見えたシーンがあったんだけど、それはなんて言ってたのだろう。この映画で読み取れていないことはまだあると思う。ただ本能でこの映画を好きだということ。それは間違いない。
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