JIZE

LOW DOWN ロウダウンのJIZEのレビュー・感想・評価

LOW DOWN ロウダウン(2014年製作の映画)
3.1
くすんだ映像と気怠い空気感は作品を体現しててすごい好み。同じ少女時代の回想もの青春映画でも『20センチュリー・ウーマン(2017年)』とはかなり趣を異にする。ジャズピアニスト"ジョー・オーバニー"の半生を娘の視点で回顧録的に描いている。麻薬依存に苦しむ父と共に暮らすエイミー,二人を取り巻く周囲も酒やクスリからは切り離せない不可逆なる刹那が滲み出る。ジョン・ホークスの渋さとファニングの透明感が映画の退廃的な雰囲気と合ってる。

クスリをいつまでもやめられない息子に対する母の毅然とした対応も良かったと思う。突き放しつつも見捨てはしない。クスリじゃなくても人知を超えた何かが必要なら罪深いよ芸術は。この映画を観たあとだと自分が普通の一般人でよかったとつくづく思える。ウトウトしながらダウン調のジャズの哀感に酔い痴れて観る分では淡い一服の清涼剤のように苦味と甘味が同居してて嗜める儚い作品だった。
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