Omizu

ビオラ/ヴィオラのOmizuのレビュー・感想・評価

ビオラ/ヴィオラ(2012年製作の映画)
3.5
新作がベルリン映画祭エンカウンター部門に出品されたアルゼンチンの俊英マティアス・ピニェイロ監督作品。濱口竜介がカイエ・デュ・シネマ誌にて2010年代ベストテンに選出したことでも話題になった。

すごく演劇っぽい。なるほど濱口竜介が好きなわけだ。シェイクスピア劇を上演する女優たちの話であり、劇中劇としての演劇も濱口竜介っぽい。

愛に関する談義をする女優たち、よく分からないコンテンツの商売をしている女性が彼女たちに巻き込まれる形になる。

女優たちが演じようとしているのがシェイクスピアの七つの戯曲を混ぜて一つにしたもの、という実験的な作品らしい。そんなこと可能・・・?

シェイクスピアのセリフを使って誘惑するところは意図的に同じセリフを繰り返し段々と詰めていく。文学の使い方が知的で上手い。

あえて全体像をあまり映さず顔のアップで繋いでいく。全体としてトランス状態にならせようとしている気がした。

何処へ行くのか分からない濃厚で不可思議な会話の応酬、そしてあっさりと語られる結末が興味深い。映画というより知的な遊びのような実験作。
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