グラビティボルト

インフェルノ 蹂躙のグラビティボルトのレビュー・感想・評価

インフェルノ 蹂躙(1997年製作の映画)
3.8
これ、今まで観た邦画で一番「悪魔のいけにえ」に手触りが近いかもしれない。
冒頭、変態殺人鬼カップルが都心で標的の女を品定めするんだけど道行く人を見詰める主観ショットが縦に傾いてる辺りから既に不穏。
こちらと認知が合わない相手の映画だと察する。このショットの連なりだけでもう生きて帰ってこれない気がするのが凄い。

ここまで犯人側の動機がペラペラなのも珍しい。
とにかく性欲と食欲しかない動物的な二人にすんなり支配されてしまう。
故にシンプル、身体に訴えかけてくる恐怖がある。
最初の被害者の妹が姉の部屋に住み始めてからのマンションの廊下を捉えたショットの恐ろしさたるや。
特に上階の手摺から彼女を窃視するショットが怖い。

ラストの
「喰えっ!」ってシーン、あの犬と一緒にヒロインを人間たらしめていたモノが走り去ってしまったかのような身も蓋もない虚しさがあった。