OASIS

ブリッジ・オブ・スパイのOASISのネタバレレビュー・内容・結末

ブリッジ・オブ・スパイ(2015年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

1950~60年代の米ソ冷戦下で起きた
、ソ連のスパイと米国のパイロットの交換交渉役を命じられた弁護士ジェームズ・ドノヴァンの実話のスティーブン・スピルバーグ監督による映画化。

スピルバーグの演出、トム・ハンクスの演技、コーエン兄弟の脚本、ヤヌス・カミンスキーの撮影、トーマス・ニューマンの音楽、どれも一級品の重厚感。
各国、各人の思惑が交錯する複雑な展開を第三者的視線で冷淡に、だが同時に人物に寄り添う温かみも併せ持つ。
その地味さは「リンカーン」並みで、重要な史実は「知ってるでしょ?」という体で当たり前に描かない為、裏の裏で行われていた工作を丁寧に淡々と描写して行く。

保険専門の弁護士ジェームズ・ドノバンは、ソ連のスパイ容疑で逮捕されたアベル大佐の弁護を依頼される事に。
裏切り者を護ろうとするとは何事かと世間からは非難されるが、後々の「保険」としてアベルの身柄を所有しておくに越したことは無いというドノヴァンの助言がその後に生きて来る展開は流石の設定&話運びの巧さ。
当初はアベルのみだった対象が、米兵パワーズや東独の学生プライアーという他二人に増えて更に事態はややこしい事になって行くが、三者三様のエピソードを捌きつつ、ドノヴァンが水面下で動き続けるというぶれない主軸によって混乱すること無く非常に分かり易く作られていた。

アベルの何事にも同時ない堂々とした佇まいと、重要な機密等教えてももらえない一端の兵士パワーズの度重なる拷問に疲弊して行く様を対照的に描いていて、両国の捕虜に対する扱いや倫理観等が見えたりする部分も面白かった。
米国側の監視体制や捕虜への対応がちょっとジェントルマン過ぎてそこは綺麗ごとでは無いかなとは思うし、反対にソ連側はいかにもパブリックイメージそのものな風であまり踏み込まずあちこちに配慮した感が見られた気もする。

アベルの偽家族の下りや朝食二つの下りなど、お茶目で軽いノリも見られるが画面が引き締まり過ぎているが故に少し外してしまった感も漂っている。
それでも、橋の上での冷たいナイフで突き刺されるような緊張感とその後の緩和、そしてベルリンとニューヨーク、二つの車窓から見える景色の対比など、感動させる所は爆発力と手堅い演出で一気に持って行かれた感じである。