スズキ

母娘監禁 牝〈めす〉のスズキのレビュー・感想・評価

母娘監禁 牝〈めす〉(1987年製作の映画)
4.3
衝撃作。
好きか嫌いかでいえば必ずしも好きではないが(自分の中でロマンポルノに求めているのものとは違うから)、ロマンポルノの凄さが一番伝わる映画なのでは。

観たことのない感情が描かれている。
冒頭の「ひこうき雲」シーンからしてただものではない感が満ち満ちているし、あのラスト近くの冷蔵庫シーンもヤバい。どうやったらあんな表現思いつくの?

ストーリー上では、ロマンポルノでしか許されない飛躍もあるけど、だからこそロマンポルノでしか描けなかった作品ともいえる。すごいよ。

主演の前川麻子さんは、台湾の青春映画で主演をやってそうな魅力がある。そう感じたのは、髪型と目のせいかな。すごく良かった。

自分にとってロマンポルノの最高傑作は、『濡れた欲情 開け!チューリップ』で、普通の映画にありえない奇跡的なシーンがふっと登場するスリリングさとか、今ならパロディとしてしか見ないバカバカしいラブコメ要素とかなので、ロマンポルノに求めているものではなかったかな。

青春映画として見るならストーリーもありえないし、あまりに女性をもの扱いするところなどもキツすぎるし。
ただ、この監督がそれなりの予算とともに青春映画を正面から作ったらどうなるのか興味が湧いた。

アップリンクパワハラ問題とかギドク再上映中止とか、それらはもちろん問題なんだけど、映画に関連する様々な問題が明らかにされる中で、ロマンポルノもそろそろ観れなくなる予感がするから、見ておけたのはひとまず良かった、と思ったけど、その辺りはよくわかりません。実際に撮影現場やその周辺で何があったか知らなさすぎるから。でもこういう映画も現場では問題だらけだったんだろうし、知らないといけないだろうな、でも正直あんまり知りたくないな、という気持ちもある。こういうことにどう向き合ったら良いのかよくわからない。
スズキ

スズキ