ヤマダタケシ

天使のはらわた 名美のヤマダタケシのネタバレレビュー・内容・結末

天使のはらわた 名美(1979年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

2022年7月 新文芸坐。石井隆追悼特集で
・天使のはらわたシリーズが、性的なトラウマの記憶、そのイメージによって閉じ込められてしまった物語だったとするなら、今作はその題材へのメタ的な総決算のような作品だったように思う。
⇒かつて強姦された被害者の記憶をほじくりかえして行く名美は、ラストシーンにおいてセリフや仕草のひとつひとつからそれまで取材してきた女性たちの体験を全てトレースしているように思う。
⇒その上で、ある意味、その強姦された女性をファムファタールとして追いかけ続け、それを純粋な行為として行ってきた・消費してきた村木が刺されることによって映画は終わる。これがある意味『天使のはらわた』シリーズを消費してきた観客へのカウンターなのか、ある意味刺されることも含めてのロマンみたいなものなのかの捉え方によって意味合いが違ってくる作品のような気がする。わたしは両方あるような気がしてモヤモヤした。
・しかし、正義ヅラした週刊誌自体のセクハラ的な構造を告発するラストはすごい。幻想なのか事実なのか分からないが、とにかくすごい。
⇒歩かずに迫ってくる同僚たちの威圧感。
⇒執拗にたかれる赤い照明の先の、名美の赤いドレスが示すもう惨劇は行われた事実。