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劇場版 神戸在住のkaomatsuのレビュー・感想・評価

劇場版 神戸在住(2014年製作の映画)
3.5
阪神・淡路大震災から今日でちょうど23年。3年前の今日、関西のサンテレビジョン開局45周年記念として、テレビドラマ版として地上波放送、映画版として劇場公開を同時に行った初めての作品である。阪神・淡路大震災から20年目という節目に公開された本作(劇場版)を観に、公開初日に劇場に足を運んだ。震災の被害や惨劇を直接描いたわけではなく、現在の平穏な神戸を通して震災の傷跡を見つめる、地味だがしっかり地に足の着いた作品だ。

主人公の女子大生は、阪神・淡路大震災を知らない。父の転勤に伴って東京から神戸に引っ越してきた、いわば第三者だ。この女子大生と友人たちが、伝聞によって震災のことを知りつつ、現在の平和な神戸で、各々が抱える事象と折り合いをつけていくという、本当にささやかなストーリーなのだが、そんな第三者目線を通して、間接的に震災が語られていることが、この作品の重要なポイントになっている。それは、震災を知らない世代や、知っていても体験はしてはいない、私のような人々の目線と、見事に重なるのだ。安易に感傷に訴えない、静かで客観的な作風が、神戸の震災時と現在との違いをくっきりと浮き立たせている。そして、無性に神戸に行きたくなる、そんな作品でもある。

阪神大震災をはじめ、すべての震災で亡くなられた方々のご冥福を祈ると共に、被害に遭われた方々の心が少しでもケアされ、不自由のない生活が取り戻せるよう、この場を借りて祈念いたします。
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