HIRO

チャッピーのHIROのレビュー・感想・評価

チャッピー(2015年製作の映画)
3.8
人工知能を搭載したロボット・チャッピーがギャングに育てられ成長していくお話。

思ってたよりもかなり面白い作品でした\(^o^)/

冒頭からまずニール・ブロムカンプ監督のお得意演出であろう専門家のインタビュー映像から始まる。
無駄にリアリティーを煽るドキュメンタリー形式は今作でも健在でしたね。

廃棄予定だったにも関わらず人工知能を搭載され、ギャングに育てられながら色んなことを学んでいくチャッピーの姿はかなり可愛いかったですね。
始めは何も喋れないし、とても臆病だったのに、徐々に口調や歩き方がギャングに染まっていくところなんかも面白かったです。

この作品を観てまず思い知らされるのは、人間の善悪なんて実に曖昧であるということ。
チャッピー以外の登場人物は基本悪人。
ヒュー・ジャックマン演じるエンジニアを始め、チャッピーを育てるヨーランディやニンジャはロクな人間じゃないわけです。
ヨーランディはチャッピーと触れ合ううちにとても温かい母性愛に目覚めるものの、ニンジャに関してはチャッピーのことを犯罪の道具にしか見ていないというか。
でも、観てる方は何だかギャングに肩入れしてしまうから不思議。
結局観客も善悪の判断なんか正確にはつかないわけで、こういった矛盾を表現するニール・ブロムカンプ監督は流石なんじゃないですかね♪( ´▽`)

チャッピーは純粋であるが故に人を疑うということを知らないんですよね。
だからこそ人間の言うことなすこと全てを真に受けてしまう。
人間のその場しのぎの嘘に振り回され、挙げ句の果てには人間からの残酷な仕打ちを受けてしまう。
それでもチャッピーは信じることを止めるどころか、人間に尽くそうとするその姿は何とも可哀想でした。

子供であるが故に善悪の区別が付いていないことをいいことに数々の犯罪を教え込まれ、それがまるでいいことのように行動するチャッピーはとても痛々しくて辛かったです。
これが地上最悪の犯罪都市ヨハネスブルクの過酷な現実なんでしょうね。
どうしてあんなにも犯罪が深く根付いているのか少しだけ分かったような気がしましたよ。

人間なんかよりも遥かに清く、純粋で、人間味に溢れているチャッピー。
そんな彼の特質が導き出したあるトラブルの解決策は、あまりにも雑でご都合主義的だったので、ちょっと置いて行かれたような気がしないでもないんですが、命とは何か、心とは何か、ということを考えさせられるほどの十分な問題提起になっていたと思います。
ニール・ブロムカンプ監督特有かも知れませんが、ラストはいつも本当にそれでいいのかな⁇と思ってしまう。
ハッピーエンドなのか、バッドエンドなのか判断できない、不思議な気持ちにさせられるんですよね。
だからこそ鑑賞後も余韻に浸れることができるので、完全に監督の思惑にハマってしまった気分です(´Д` )

問題の削除シーンなんですが、物語には全く関係のないものではありますが、繋ぎ目があまりにも不自然なので、何も知らない人が観たら編集が下手に感じてしまうだろうし、下手したらニール・ブロムカンプ監督の評価を下げかねないので、やっぱりこういうことは止めた方がいいと思いました\(*`∧´)/

ちょっと雑な部分もあるけど、僕は結構楽しめました。
映画館に観に行って良かったと思えるくらいに満足感を得られましたよ\(^o^)/
アクションシーンはかなり迫力があるので、映画館で鑑賞するのも良いと思います。



2015-69
HIRO

HIRO