KI

トイ・ストーリー4のKIのレビュー・感想・評価

トイ・ストーリー4(2019年製作の映画)
3.9
「トイ・ストーリー(1995)」、「トイ・ストーリー2(1999)」と来て、続編はないとずっと思っていた。約10年を経て「トイ・ストーリー3(2010)」が公開、あまりの衝撃と感動にこの物語は完結したのだと確信した。そしてまさかの4が公開。

今作はウッディの成長話でした。
アンディの元に戻りたいという未練たらたらから、自分で決断し道を切り開いていく話だと思います。
キャラクターも前作までのレギュラーメンバーから一新し、新たなキャラクターを中心にストーリーが進みます。
字幕で見たためTT兄弟ではなかったダッキー&バニー。このコンビのテンポが良く、鍵のくだりのオチも相まって最高でした。アフレコ動画が素晴らしいキアヌが声を担当したカブーンもナイスキャラでした。
3には登場しなかった懐かしいキャラクター、ボーが登場。活発に成長してました。ボーもアンディの妹との別れがあって道を切り開いたのでしょう。CG技術の向上により見せる陶器のツヤ感。さらには、質感が異なることで生ずる個々のおもちゃに働く重力の違いが感じられるアクションも楽しめた。初対面の者同士が鼓舞奮闘するなかで仲間になっていく。一方出会いがあれば別れもあり...

ゴミから作られたフォーキーが何度もゴミ箱に飛び込むとこは、3での焼却場が思い浮かびました。
ゴミとしての役割を全うするのか、それとも、作り変わったおもちゃとして生きるのか。
後半は殆どクッパに捕らわれたピーチ姫にしか見えなかったです。3の焼却場とは相対的な位置のキャラクターなのに、もう少しフォーキーについて掘り下げて欲しかったなぁ。

悪役ギャビー・ギャビーはまだ子供に愛されたことのないおもちゃだった。アンディに愛されていたウッディは彼女に幸せになって欲しかったのでしょう。おもちゃが子供に愛され、愛することの重要性。これはウッディが自己犠牲してでも伝えたかったことだし、最後の決断の理由なのだと思う。(なんかこういうこと書いてると、ウッディが仏や神様になったように思えるね←)
アンティークショップの「セカンド・チャンス」とはなかなか良いネーミングしよって。
あと腹話術人形怖いよ。

何はともあれ3のラストからは一変。次のステージを描いていくためには必要だったのではないかと思った。






しかし、今作で私がトイ・ストーリーに感じていた特別な感情は崩壊してしまいました。

トイ・ストーリーの良さは人が知らぬ間に、おもちゃたちが動きだして冒険を繰り広げつつも、最後には子供部屋に帰ってきて、おもちゃとしての姿に戻っている。
という、人の世界とおもちゃの世界が直接関与しないことだと思ってます。

だから、トイ・ストーリーという作品を通して、じぶんが子供の時に遊んだおもちゃについて想像できるのだと思っています。

子どものころ遊んでたおもちゃは、あの時どのような冒険をしてたのだろうか。トイ・ストーリーのキャラでなく、自分が子供の頃遊んでいたおもちゃのそれを見ているから泣けるのだと思います。

そのため偶然を装う程度なら良いのですが、人の前で動いたり、喋ったりしてはいけない掟があるのです。リアルな深みを得るための製作者の配慮です。タブーを起こしたら、それはもう、1-3で描かれてきたおもちゃじゃなく。あくまでトイ・ストーリーのキャラクターになってしまった。なんというか他人事のように感じてしまった。

あなたはほんとうのトイ・ストーリーを知らないとはよく言ったものだ。
KI

KI