TAK44マグナム

ワイルド・スピード SKY MISSIONのTAK44マグナムのレビュー・感想・評価

5.0
ポール・ウォーカー最後のワイスピ。
これはどんな事をしてでも初日に劇場で観なければと思い、何とかレイトショーで鑑賞、先ほど帰宅したところです。
奮発してIMAXで観ました。3D上映がIMAXのみということもあったのですが、あの巨大なスクリーンで観られて正解でした。
ただし、3Dは全くダメダメでした。基本的に3D効果の高いカットが少ないし、今作は敵がジェイソン・ステイサムということもあって格闘シーンが多めなのですが、かなり速い動きがブレブレの残像感が目立つので目は疲れるし、そもそもどんな動きなのかを把握するのが大変でした。
アブダビのビルのシーン等、一部立体感が楽しめましたが、これなら2Dで観た方が懸命です。

では、本編の感想です。
まず、最初に、とにかくこれでもかというほどツッコミどころが満載過ぎです(苦笑)。
物語は完全に破綻しているといっても良いでしょう。
観れば分かると思いますが、アクションをテキトーな話で繋いでいる構成なので、かなり無理があります。
例えば、ショウ(J・ステイサム)を探すために「神の目」と呼ばれるシステムを借りたいから、それを操れるハッカーをどこぞの軍隊から救出する、というのが最初のミッションなのですが、そんなシステム借りなくてもショウの方からやってきてくれるので別に必要ないです(居場所がわかれば先制攻撃できるという理由もありますが)。それどころか、そんなシステムに拘ってしまった為に軍隊を敵にまわしてしまうので、リスクの方がデカ過ぎで意味がないんですよね。
これは、話のスケールを大きくしたいとか、色々と理由があるんでしょうけれど、他にも数え切れないほどおかしな点がありすぎて、最終的にはもう何でもいいや!って気にさせてしまうところが逆に凄いと思いました。

映画の雰囲気は、監督の交代があった割にはさほど前作までと変わることがありませんでした。
ホラーばっかり撮っていたのに、こんなアクション大作も無難にこなすとは中々やりますなあ。
まあ、レギュラーメンバーが同じだからというのも大きいですね。5作目以降の雰囲気と思っていただければ良いかと。
とにかく派手です。爆発しまくりだし、銃弾は飛びまくりだし、車の存在が霞んでしまうほどですが、それでもやっぱりアクションの主役は、ちゃんと車でした。これは素直に嬉しい。
あと、ほっこりするようなギャグが初っ端からあって、メチャ笑えましたよ。

心配したポール・ウォーカーの撮影が残っていた部分ですが、これはどこが代役なのか殆ど気付けないぐらいで、まったく違和感ありませんでした。
ああ、ここはポールの弟さんだな、と判るところもあるにはありましたけど、気にならないようによく工夫されていました。

大きな見せ場は三つ、アゼルバイジャンでのハッカー救出、アブダビでのチップ奪取、そしてロスでの最終決戦です。
そのどれもに、車が空を飛ぶアクションが取り入れられています。だから邦題は「スカイミッション」です。やや強引ですけど(苦笑)。
どの見せ場でも、現実的には絶対無理な事ばかりやっていて、もう笑うしかありません。
度肝をぬくシークエンスの連続で、息つく暇なしといった感じです。何度、心の中で「んなアホな!」と叫んだことか・・・
考えられる全てをぶち込んだかのような、カースタント、爆発、銃撃戦、格闘、全てを網羅したアクションの満漢全席!
もうお腹いっぱいいっぱいで食べられません!ゲップがでちゃいますよ!
ありえなさを競ったら金メダル間違いなし!
というか、さすがにこれはやり過ぎじゃないかな・・・
次回作でアイデアが枯渇しないといいんですが(汗)。

見せ場も多いだけに、キャラクターも色々と登場するのも本作の特徴のひとつ。
レギュラーメンバーは前作からほぼスライドしていますが、新しい登場人物の一部の扱いが非常に中途半端なのは残念でした。
特にカート・ラッセルの役は別に誰でも良かったんじゃないですかね?ホブス(ドウェイン・ジョンソン)が動けない分をカバーする役回りでしたが、ちょっとしか活躍しないし、あれだったらカート・ラッセルをわざわざ使う必要性を感じませんでした。
ジェイソン・ステイサムも、ちょっと期待はずれなところがあって。
その登場シーンは開いた口が塞がらないほど凄すぎて、ツカミとしては最高だったんですけど、あれほどの戦闘能力があるならドミニク(ヴィン・ディーゼル)も簡単に殺せそうなのにタイマンで互角って有り得ないでしょう。
最初がインパクトありすぎて損をしたような気がします(苦笑)
でも確かに強いし、存在感は抜群だし、格闘もさることながら運転する演技が実に様になるのでジェイソン・ステイサムの起用が大正解なのは疑いようがありませんね。
変な軍隊なんて出さずに、ジェイソン・ステイサム一本槍の方が良かったんじゃないですかね。

以下、ゲストキャラについて少しばかり。
「ワイルドスピードX3」の主人公だったショーンは、ホンの少しだけ登場します。演じるルーカス・ブラックが少し老けてて、完全に高校生には見えなくなっていたのに笑ってしまいました。
「マッハ!!!!」などで有名なアクション俳優のトニー・ジャーは出番はさほど多くないものの、流石の格闘アクションのキレをみせてくれます。
そんなトニー・ジャーのボス役を演じるはジャイモン・フンスーですが、これも誰でもいいような役でした。
アブダビで出てくるロンダ・ラウジーは、「エクスペンダブルズ3」でも活躍していましたね。
前作のジーナ・カラーノに続いての本物の女性格闘家参戦というわけですが、やはりキャットファイト要員でした。
トニー・ジャーより全然出番が少ないながらも、いかつい系の顔やボディが迫力満点で目立ってました。

・・・とまあ、長々と書いてきたんですが、正直に言うと、残りはフィナーレのシーンだけってところまでだと評点は4.5ぐらいだと思っていたんですね。
心の底から楽しめる映画だし、何と言っても15年越しに観続けてきたシリーズのファンだけれども、ちょっと期待値が高すぎたのか、自分の中では満点ではないかな?という感じだったんですね。
でも、フィナーレで、ドミニクの心の声が流れるわけですよ。
幸せそうなブライアンを見つめるドミニク。
並走するドミニクとブライアン。
そして・・・・・・・・

うああああああああ、号泣ですよ!
まさか、ワイスピでこんなに泣かされるとは・・・・・・
これはズルい、ズルすぎでしょう・・・・・これは5.0、いや出来ることなら10.0でも100.0でもあげたい!
とにかく満点ですよ!こんなの見せられたら、そりゃもう満点以外の評点なんて何の意味も持ちません。
それほど泣かされましたねえ・・・
劇場中で、そこかしこからすすり泣く声や、もうはっきりと泣いちゃっている女性の嗚咽なんかが聞こえてきちゃったりして、さらにつられて涙が止まらない状態に・・・

あんなに日本車を、GT-Rを愛してくれたポール・・・
あんなに楽しそうに運転する演技が出来る俳優は他にいやしません。本当に素晴らしい人を亡くしてしまいました。

この映画は、ポール・ウォーカーに捧げられています。
ドミニクの、いやヴィン・ディーゼルの「兄弟」は、映画が世界中で大ヒットしているのを、きっとどこかで見届けていることでしょう。
貴方のいちファンとして、しっかりと目に焼付けさせてもらいました。最後のブライアンの姿を!
ありがとう、ポール・ウォーカー!!


IMAX3Dにて