賽の河原

スノーデンの賽の河原のレビュー・感想・評価

スノーデン(2016年製作の映画)
2.8
ジョゼフゴードンレヴィットが好きなので鑑賞しました。
アメリカの諜報機関が他国はもちろん自国民も含めて盗聴やらデータの閲覧やらしてましたよというエドワード・スノーデンの暴露をオリバー・ストーンが映画化。
映画が始まると、スノーデンとガーディアン紙の記者の待ち合わせのシーン。取材するホテルの一室に入るやいなや「携帯電話は電子レンジに入れてくれ」「レンジの中は電波が遮断できるんだ」なんてところから始まる。
スノーデン事件はボンヤリと知ってはいたけれど、各々の持つ端末が盗聴対象になるほどヤバい事件だったんですよっていう効果的なカマしになってますよね。
あとは話が回想形式で進むんだけれども、「21世紀になろうってタイミングだけどまだ特殊部隊の訓練で『フルメタルジャケット』やってるのかw」的な感動とかもありますね。
スノーデン自身、当初は中道右派的な立場で描かれているんだけれど、アメリカの倫理的なヤバさに徐々に良心の呵責からリベラルな方向に変わって行く様を丁寧に描いていると言えるんじゃないでしょうか。
また、アメリカのやってる諜報が本当にエグいんでそこに引き込まれる面白さがあります。
一方で「私のオッパイのどこが国家の安全に関わるの?」とセリフにもある通り、ミクロな視点でのヤバさは正直感じないというか。オリバー・ストーンが俯瞰的な視点で大きな物語の巨悪を描いているだけな感じは否定できず「説教くさい」という印象は否定できないし、ジュネーブ・東京・ハワイと描かれる場所がスノーデンの異動によって変わるけどそれぞれのシークエンスで「何やってんの?」「前と何が違うの?」「同じ流れじゃね?」という感じで冗長。
スリルやアクション的見せ場はほぼ皆無だし、コミカルなシーンもほぼなし。(ルービックキューブや手話を粋な演出でまとめてくるのはさすがとおもいますが)
その意味で退屈といえば退屈。
時事的にはトランプ政権になるのでやや、ダークな終わり方とも取れるけれど、スノーデン寄りに仕上げた映画なのでこれを見て現実を考える契機にはなれど、判断するのは早計かと思います。
あとはこういう実話物の定番ですがスノーデン本人も出てます。スノーデンの恋人は本物の方が綺麗なのはご愛嬌でしょうか(笑)
「シチズンフォー」も観てみたいですね。
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