アレックス・ガーランド監督のデビュー作となったSFスリラー。
世界最大のインターネット会社で働く優秀な若手プログラマーが、CEOの所有する山間の別荘に1週間滞在し、世界初のAIロボットと交流する極秘研究に参加する。
"One day the AIs are going to look back on us the same way we look at fossil skeletons on the plains of Africa. An upright ape living in dust with crude language and tools, all set for extinction."
新作『シビル・ウォー』に向けて、6、7年ぶりに再鑑賞。
AIが自らの創造主である人間を超える近未来を描いた傑作SFノワール映画。シェイクスピア『テンペスト』になぞらえているという奥深い"人間ドラマ"、人間とAIの関係性について考えさせる知的なダイアローグ、アカデミー視覚効果賞を受賞した素晴らしいAI造形、緻密に計算され尽くした撮影、圧倒的な景色を誇るロケーション、主演アリシア・ヴィキャンデルのアンドロイド演技など、どこをとっても完成度が高い。非常に洗練された作品だ。
3度観て美味しい作品。1度目はケイレブ視点、2度目はネイサン視点、3度目はエヴァ視点で楽しめること間違いなし。
7段階の"Ava Session"。ネイサンが新パートナー、ケイレブと共にエヴァを試しているのかと思いきや、初めからエヴァによって2人が試されていたのであろうことが判明するラストに愕然とする。
"I am become Death, the destroyer of worlds."という"原爆の父"オッペンハイマーの名言が引用されていたように、AIが世界を一変させてしまう可能性が危惧されている。SF映画の観過ぎなのかもしれないが、自分もそう遠くない将来、AIが人間を支配することになるだろうと予測している。
人間らしさと"アンドロイドらしさ"の両方を絶妙に演じ分けたアリシア・ヴィキャンデルが素晴らしい。脱出するために人を殺めたエヴァが、ピュアさの象徴であろう真っ白なドレスに身を包んでいたのがとても皮肉だ。
坊主頭にヒゲ面のミステリアスな天才科学者をオスカー・アイザックも存在感がある。あのノリノリのダンスシーンには中毒性があり、何度見直してもテンションが上がる。
創造神と創造物。ギリシャ神話におけるプロメテウスと人間の関係=人間とAIの関係。
・ロケ地は、ノルウェーの首都オスロから約500kmにあるユーヴェ ランドスケープホテル。
「検索エンジンは、人間の思考形態そのもの。」
"Isn't it strange, to create something that hates you?"
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