チッコーネ

死んでもいい経験のチッコーネのレビュー・感想・評価

死んでもいい経験(1995年製作の映画)
3.0
2022年5月現在、『下女』以外で最も観やすいキム・ギヨン作品(IVCはとりあえず、高価なBOXを捌いているところ)。
制作陣が公開を見送っただけのことはあるゲテ物で、70年代後半~80年代前半の土曜ワイド劇場(のキ●ガイ版)みたいな雰囲気。
悪趣味な照明やスタイリングには、前時代からアップデートされていない制作陣の時代錯誤が反映されている。
本作の背景に多用される「韓国の近代化」から、いよいよ取り残されようとする感覚ではないだろうか。

頻出する濡れ場には芸術的な必然性より、ポルノの物見高さが漂う。
しかしシュールなコメディ感覚、女性蔑視、場末な舞台美術、そして要所に顔を出す普遍の独自センスはもはやキッチュの域。
ユーロ・トラッシュの作品群から受ける印象と最も親和性が高い、コリアン・トラッシュであった。