賽の河原

ビリギャルの賽の河原のレビュー・感想・評価

ビリギャル(2015年製作の映画)
3.0
ビリギャルが慶応に合格するお話。結末も知ってるし、その展開にカタルシスはない。
しかしこの映画から社会を見てみようじゃないか。イマドキ慶応に行ったところで輝かしい未来なんて約束されてるわけじゃない。映画中盤で有村架純演じるビリギャルはブラック企業の話を学ぶシーンがあるが、ある意味では非常に示唆的でさえある。「CMなんてやってる企業なのにさー、自殺しちゃうなんておかしい!」と有村架純は言う。仰る通りだ。
この映画で徹底的に悪者として描かれる学校の先生。社会的に聖職だとか尊敬されるべき職であるがゆえに大学や採用でふるいにかけられているが、現実はどうか。この映画で悪者に描かれるように社会からリスペクトされるなんてことはない。部活問題はもちろん、社会の要請でやれALだICTだプログラミングだ。それでもってまともに授業受けねーガキもいる。話を聞いて見たら「塾で勉強してる」、保護者を呼べば「寝かしてやってください」ふと時計の針を見てみれば日付が変わりそうだ。(映像に時計が写っている)
とんでもない仕事だ。
伊藤淳史演じる塾の先生は「個々に合わせて授業をする」ために寝る間を惜しんで生徒との話題を勉強したり「進学実績」という結果を出すために夜中まで働く。
受験勉強をしてまでこのような働き方は果たして本当に幸せなのだろうか(笑)
ビリギャルのお父さん、うまく社会でサバイブしてそうだけどお父さんは決して学歴なんかで社会を生き抜いているのではなさそう。あくまで大学まで野球をやった体育会系なノリで生きてるんじゃないか(笑)
そうやって見てみると現代日本の意味のない学歴ディストピア社会ムービーとも言える。
続編が作られることはないだろうが、有村架純が電通に入社し鬱になり、一方で有村架純の友達のアホギャルたちはは地元でマイルドヤンキーと結婚出産。塾の先生は塾が大人気になり塾を多店舗展開。伊藤淳史は本を書いたりゴルフ三昧。名古屋大不合格になった浪人くんは無事弁護士になり、子供を中学受験させる、なんて設定の続編くらいやってほしい。
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