TAK44マグナム

クリープショー2/怨霊のTAK44マグナムのレビュー・感想・評価

クリープショー2/怨霊(1987年製作の映画)
3.0
モダンホラーの帝王スティーブン・キングとモダンゾンビの生みの親ジョージ・A・ロメロが最恐タッグを組んだオムニバスホラーの第2作。


第1話「木彫りのインディアン人形」
時代に取り残されたような街で雑貨屋を営む夫婦。
そこへ田舎町に嫌気がさした3人のチンピラが強盗にはいる。
夫婦は殺され、店先に長年置かれてきたインディアン酋長の人形が復讐のために動き出した。

第2話「殺人いかだ」
4人の若者が湖に遊びに来る。
そこには浮き台があったのだ。
早速泳いで浮き台に乗る彼らだったが、その周囲を不気味な黒い物体が取り囲む。
1人の女子が興味本位で触ろうとすると、それは全身にとりつき、彼女を水中に引きずり込んだ。
黒い物体は、人を喰らう生物だったのだ。

第3話「殺人ヒッチハイカー」
ひとりの主婦が車をとばしているとヒッチハイカーが乗せてほしいと頼んできた。
主婦は乗せず、不慮の事故ではあったもののヒッチハイカーを轢き殺してしまう。
恐ろしくなった主婦はその場を離れてしまうが、ヒッチハイカーはどこまでも後を追ってくるのであった。


・・・以上の3編からなるオムニバス映画です。
前作と比べてかなりソフトな描写になり、話数も減り、内容的にも些かパワーダウン。
劇場用映画というよりテレビドラマの趣きで、音楽なども安っぽく聴こえてしまいます。
往年の「ミステリーゾーン」みたいですね。
それでいて、ロッド・サーリングの様な深みは無いという・・・
ジャンクなホラー風味最優先なので、メッセージ性も薄っぺらい。
キング的な味わいは感じられます。


第1話は大魔神×必殺仕事人のようなオカルト復讐モノですがパンチ力不足。
ジョージ・ケネディは人の良い店主役。
どうもこの人を見るとパニック大作観ているような気になってしまいますが、本作はインディアンの誇りみたいなものを非常にこじんまりと描いております。

第2話は、割と傑作と評する方がいるのも理解できる、これぞ怖いパニックホラー。
さっぱり正体のわからないヘドラが液体化したヤツっぽいのが襲ってきて、湖の真ん中から脱出できなくなってしまいます。
グチュグチュと音を立てながら移動する黒い物体は何なのか?
突然変異か、宇宙生物か、はたまた意思を持った油膜なのか?
相手が正体不明なうえに、水着で浮き台にいるだけなので何も対処できないのも恐ろしいですね。
そこに陸地が見えているのに!っていう絶望感はサメ映画の傑作「ロストバケーション」と同様。
あと、「ゾンビーバー」でもソックリなシチュエーションがありました。
鴨?が密かに喰われているところからして不穏で、オチも悪くないし、これは長編でも観てみたくなる一編でしたよ。

第3話は、よくあるタイプの話。
轢き逃げはダメ!
運転気をつけて!
さもないと、酷い目にあわされるぞ〜と、お節介にも忠告をしてくれる有難さ。
ただ、ヒッチハイカーのしつこさは素晴らしい。
どんなにメチャクチャにされてもへこたりない。
一応、轢かれたりすると痛いみたいなのですが、不死身というか最早ゾンビ。
最終的には肉塊と化します。
それでも諦めません。
もう、いっそのこと乗せてあげれば成仏したのかもしれないのに!
狂ったように何度も轢きなおす主人公も身勝手の権化みたいで良かったです。
「ざまぁみろ」とか言っちゃうし!
一見、スラッシャー映画におけるファイナルガールみたいですけれど、この人轢き逃げ犯ですからね(汗)


エンディングは、お馴染みのビーリー少年がいじめっ子に復讐するエピソードなのですが、アニメーションです。
予算の問題上、あんなパックンフラワーみたいなの実写じゃ出せなかったからアニメになったのかな?
まぁ、アニメなので特にグロさもなく。やってることはドイヒーですけれど。


そんなわけで、ごく普通のクオリティで綴られたオムニバス映画でした。
時間がない時に観るなら、第2話を推します。
ちなみに、スティーブン・キングは前作でも俳優やってましたけれど、今回は第3話のトラックドライバー役でカメオ出演しておりますよ。


レンタルビデオ、某動画サイトにて