福助

キャプテン・マーベルの福助のレビュー・感想・評価

キャプテン・マーベル(2019年製作の映画)
4.0
冬の間はレビューする気力も失せるほどの忙しさだったのですが、マーベルの名が付いたMCUの真打ち登場とあって、書かずにいられない程の作品でした。
まず、オープニングでね、これもう愛しか感じられない。ほんと素晴らしいオープニング。

アベンジャーズIWのエンドクレジット後に、その存在が明らかになったキャプテンマーベルですが、お話はアベンジャーズ計画の前に遡る90年代。
クリーとスクラルという宇宙二大種族の大戦争を背景に、昔の記憶を失ったクリー側のヴァースこと、マーベルさんが感情に赴くまま、ぶん殴ったり蹴っ飛ばしたりしながら突き進む自分探しムービー。その中で大きな謎と目的が明らかになっていくのですが、相変わらず絶妙なさじ加減でした。
マーベルさんはかなり激情型ですが、ユーモアもあるし、豪快でとにかくカッコいい!立ち姿が絵になるんですよね。
若かりし頃のニックフューリーとのバディっぽいやり取りもずっと観ていたい感じ。
若かりしといえば、映画ではお久しぶりのコールソンも少しだけ出てましたけどIW後の彼らってどうなってしまってるんだろ‥。
公開前から猫のグースが(個人的に)話題になってましたが、注目はキャラ崩壊しかねない全力の猫なで声を披露してるあの人です。いやあ、猫様の前ではそうなってしまうんですよ人間なんて。

華やかでポップな軽いノリの80年代のツケみたいな、90年代の重たくてダークで自省的なグランジロックを楽しみながら、彼女の旅を追体験しているうちに、彼女のアイデンティティを確立する出来事が自分にも当てはまってきて、その全てが重なった時のシーンは叫びたくなりました。
MCU作品の中でもベストパートな気がします。

はい、ポリコレポリコレ。と単語だけで思考停止して批評する輩が多い中、性別で枷を付けられてしまう事が、今よりも顕著な一昔前の時代だからこそ描く事の出来る作品だと個人的には感じました。

それにしても、後半にかかる怒濤の90sロックは私がMD(メガドライブではない方)に突っ込んでドライブしていた思い出深い曲達だったのでシビれまくりましたよ!
※他のレビューで最近のMCUは有名曲を外しで使う手法という意見も見掛けましたが、just a girlの歌詞はキャロルの境遇にピッタリじゃないでしょうかね。

エフェクトや宇宙での戦闘シーン等の派手さはあるのですが、MCU作品の醍醐味であるヒーローのクロスオーバーはほとんどありませんし、クリーとスクラルの対立に地球巻き込まれてるだけやん!という構図は否めないのですが、現実もそんな感じでしょ?大国に翻弄されて小国が戦地になってしまうとか。
単体作品として素晴らしい出来なのですが、しっかりとアベンジャーズへの導入も考えられていたりして、ケビンファイギの壮大な辻褄合わせには頭が下がります。

エンドロール後はいつになく直接的なエンドゲームに繋がるシーンとなっていたので、「いよいよか!よし、ワシも腕立て伏せ回数増やして備えるわ!」って気分になります!
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