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スポットライト 世紀のスクープのTSのレビュー・感想・評価

3.9
フリーパス映画第四弾。
第88回(2016)アカデミー賞作品賞受賞。

これから見られる方は「枢機卿」という単語だけ知っておられたら、スムーズに鑑賞出来るかと思います。
知っていたら恐縮千万ですが、枢機卿とはカトリックにおける教皇の補佐のような人、つまりカトリックのナンバー2と思っていただけたらイメージがつきやすいかと思います。

さて、これまたよく映画化したもんだと感心させられた作品。
最近の映画は、社会における大いなる勢力、また悪しき風習を打破しようとするものが多いかと思います。
先日みた『フルートベール駅で』もそうでして、アメリカ政府が顔を真っ赤にして見なければならない映画だったと思います。

そんな真相をぶちまけた映画が多くなってきてますが、今作もそのうちの一つになるかと思います。

今作は、カトリックの悪事を新聞社が暴いていくというものです。
宗教団体というのはある意味国家を凌ぐほど強大な権力、勢力を誇ることがあります。
キリスト教カトリックがその最たる存在と思われ、純粋に考えて2000年近く信仰が継承されているというのは凄まじいです。

現代日本人は、文化的な背景もありますが、科学の発達により、宗教に頼る場面が少ないので、宗教は何か危ないものだという認識を強く持っています。
ましてや、昨今のイスラーム勢力によるテロ行為がそれを助長させてしまっています。

果たしてそうなのか?
宗教とは人の心の拠り所です。
非科学的な思想をもっていた時代では、信仰こそが全て。
人には、どうしようもない事態に陥ったときに、超自然的な力に頼るという習性があります。

単純にいえば合格祈願。合格発表の瞬間、手を合わせて祈りますよね?
あれも部分的にいうと宗教の一環です。つまり、知的生命体である人間には、宗教に頼るという本質が眠っているのかと思います。

僕は宗教学専攻でもなんでもないですが、歴史に宗教はつきものでしたので、いろいろ考えさせられることは多かったです。

今作も、弱き勢力が、強き勢力に鉄拳を加えてやる、といういわば下剋上みたいなものです。
そして、そのスキャンダルを明かすことにより現代の宗教問題だけでなく、大いなる権力を持った勢力に立ち向かわなければいけないということも揶揄してるのかと思われます。

正直に申し上げますと、暗めの映画で話も宗教に少し偏っているので、面白くないと言われる方が続出することが予測されます。僕はわりと面白く鑑賞させていただきました。

ほんと、タイムリーな実話がアカデミー賞になりやすい傾向にあります。それが悪いこととは全く申し上げていませんが、やはり悪しき現状について考えさせられるのがアカデミー賞にふさわしいのかなと感じました。

欠点として最後まで盛り上がらない。ギャフンと言わせた感じがあまりない(°_°)というのも、実際神父がほぼ出てこないのですね。。焦る顔を写してほしかった。それも狙いがありそうですが、、

レイチェルマクアダムス、アバウトタイムの時と比べて何となく感じが違いましたね(笑)

ちなみに、僕はやはり記者という職業は絶対できないなと感じました。つまり営業職系ですね。人に押し寄せていくというのが苦手ですね(笑)どちらかというと自分の意見を押し付けようとしていかないタイプなので(°_°)なので、ああやってゴリゴリ行ける人が凄いと思いましたね。でも真相を必死に求めるあの姿は見習わなければならないと感じましたね。

僕はカトリック、宗教を中心に扱って感想を書かせていただきましたが、やはり今作の根底にあるものは「記者のあるべき姿、姿勢」でしょうね!
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