JunIwaoka

スポットライト 世紀のスクープのJunIwaokaのレビュー・感想・評価

4.5
2016.4.16 @ TOHOシネマズ日劇

報道の政治的中立性とかいう訳の分からん情報統制によって、テレビも新聞も事実を追求しなくなって、日本のジャーナリズムが死に体となった今、この様な映画がアカデミー賞作品賞をとったことの意味は大きい。この作品自体はカトリックというあまり馴染むことの出来ない価値観が前提としてあるけど、改めて日本語字幕で観たら分かりやすくて、疑問を持ちながらも当たり前のことと日常をやり過ごす中に多大な犠牲があることを強く警告する。これは単なるスキャンダルではない。
印象深いのは不正が発覚していく過程で「それでも信仰出来るか?」という問いに対しての「教会は人間による組織だから腐敗していく。信仰は永遠だ。それらは異なるものだ。」という答えが的確。堕落していくのは人の私欲で、それは権力だけではなくて痛ましい不正が綻びるシステムを見過ごすことで、知らぬうちに加担していた事実に唖然とさせられる。事勿れ主義、関心のなさも残酷なことなんだ。
取材を進めていくことによってスポットライトチーム自身も自分たちが犠牲者になっていたかもしれない恐怖に日常が一変して、価値観が崩れていき、戸惑い、傷ついていく。生存者として呼ばれる犠牲者のことを想い、突き動かされる正義は矛盾したものであって、複雑な思いでマーク・ラファロがマイケル・キートンに言い寄るシーンが圧倒的で改めて泣いてしまった。これは主演男優賞をあげてもよかったんじゃないかと思うよ。

レイチェル・マクアダムスも今作は年相応な魅力があった演技だったんだけど、初めてお目にかかる彼女は妖精さんみたいな派手なワンピース姿と、ミニスカートの生脚がキラキラしていて唖然とした。可愛いからいいんだけど単純にビックリした。
JunIwaoka

JunIwaoka