逆鱗

ハン・ゴンジュ 17歳の涙の逆鱗のレビュー・感想・評価

ハン・ゴンジュ 17歳の涙(2013年製作の映画)
5.0
映画としての出来不出来ではなく、これを映画化して世に出したことに5点。

映画は事件をだいぶソフトに描いている。
ソフト過ぎて、事件の凄惨さや被害者の怒りや悲しみが、あまり伝わらなくなってしまっているという点では、作者の意図が図りかねる点である。

こういう事件を二度と起こさないためには、そこは外してはいけないのではないかと思うが、意図を是非知りたいものだ。

1年以上もかけて暴行を続けたにも関わらず、加害者は誰も刑事罰を受けていない。
警察の捜査もいい加減で、何度被害者少女を傷つければ良いのかという乱暴な捜査状況だったらしい。

加害者との直接対面による調査、男性警官による事件の詳細なヒアリング、警官たちが仕事終わりに事件の話を酒の肴に盛り上がるなどといった状況である。
(韓国映画で警察がやたら間抜けに描かれる作品がよくあり、これまでは大袈裟だなと感じるところもあったが、こういう杜撰な捜査を知ると、やたら間抜けに描く意図がわかる気がする)

被害者少女は自殺未遂、常に苛まされる自殺衝動、摂食障害といった地獄の苦しみの日々を過ごしていたことも作中では避けられたかのように描かれていない。

実の両親も鬼畜で、親父は被害者少女を騙してサインをさせた示談書を加害者家族へ売り、その金銭は被害少女のためではなく、親戚と山分けしたらしい。母が実際に金を受け取ったことを証言している。
金欲しさに、両親と親戚たちが、被害者少女に示談をやたらに勧めたということだ。

この事件は2004年とそう昔のことではない。当時、事件の様子は加害者によりネットに晒されたようである。
当時14歳なので、2020年の今は30歳、元気で生きているのだろうか…どうか生きていて欲しい…
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