nagaoKAshunPEi

心が叫びたがってるんだ。のnagaoKAshunPEiのレビュー・感想・評価

心が叫びたがってるんだ。(2015年製作の映画)
4.5
青春群像劇の新たなマスターピースに出会ってしまった…!という衝撃に打たれるほど大好きな作品だった。

過去のトラウマによりことばを発しなくなった少女、本音を言わない少年、過去の恋愛に悩むチアリーダー、肘を壊した野球部エース。大なり小なり、過去に悩みを抱えた四人が、学校行事の実行委員を任される。初め、バラバラだった四人が、行事で発表する「ミュージカル」を成功させるため、少しずつ自らの心を解放させていく様は、観ていて高校生というあの一時を思い出させてくれたし、四人の思いに動かされて、消極的だった他のクラスメイトたちも「ミュージカル」を成功させるべくクラスが一致団結するあたりの映画が走り出す感じは堪らなかった。終盤に入る直前ぐらいが少しもたついたようにも思えたけども、それでもそれを帳消しにするぐらいのクライマックス待っていた。

過去のトラウマからことばを発しなくなった成瀬順が、次第に自らの心の殻を破っていく様子は胸打つものがあったし、彼女がことばを発する(というか絞り出す)瞬間のことばを通して伝えることの大切さも伝わり、説得力もあった。彼女が抱えている心の闇が深すぎて、彼女がことばを発するたびに、涙堪えるのが大変なほど。

映画の重要な肝になってくる音楽も、クラムボンの方が織りなすスコア、そしてミュージカル楽曲、さらには乃木坂46が歌う主題歌まで全てが胸を打つ非常に良いものだった。すぐサントラ買いに行った。

一見、ミュージカルという下手したら臭すぎる方向に転んでしまいかねない題材を、10代が抱える葛藤を織り交ぜながら、爽やかな一作へとまとめ上げられた、間違いなく日本最高峰のアニメーション作品だった。もう本当大好きな作品だった。
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