<概説>
親であることを捨て、女との愛に生きることを決めた凄腕ガンマン。しかし彼を待っていたのはめくるめく愛欲の日々ではなく、数多の血に塗れた凄惨なる運命だった。
<感想>
初ホドロフスキーがこれなら宗教的映画としていました。
ただ生憎と初ホドロフスキーはかなり後期の作品で、そんな観客からすると本作は宗教映画とは言い切れません。
むしろ本作からは「また監督親子の話してる」という、エル・トポが親であることに重きを置いた感想が生まれました。
そもそも私はキリストの倅の逸話を知らないもので、作品冒頭のあたりから疑問だったのです。キリストを重ねるのに『子連れ狼』のイメージは不敵ではと。
たしかに倅の初殺人は物語の掴みとしては魅力的でした。
ただホドロフスキー監督程の方であれば別な手段でも開幕を飾れたはずで、にも関わらずそうしたならばこの関係性にもなんらかの含意があるはず。
そしてそこで『リアリティのダンス』やらから親子関係の問題を考えるのは、ホドロフスキー映画では実際自然な気もします。
まあ、私もちょっと安直な気はしますが。
こう考えをまとめてみるとホドロフスキー監督はシュルレアリスム作家としての側面より、自伝作家としての側面が強い気がしてきますね。
この印象が他の作品視聴後にどう変わるか。
ちょっと期待が止まりません。
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西部劇においてセルジオ・レオーネ監督はやっぱり偉大。