三樹夫

ピエロがお前を嘲笑うの三樹夫のネタバレレビュー・内容・結末

ピエロがお前を嘲笑う(2014年製作の映画)
3.2

このレビューはネタバレを含みます

マインドハック(どんでん返し系か?)とか宣伝しててこの内容だと、主人公が取り調べで回想形式で語るって『ユージュアル・サスペクツ』か?主人公のなりたい自分みたいな男が主催するホモソーシャルでマッチョ主義なグループがイタズラ的にカウンターアタックを仕掛けるって『ファイト・クラブ』か?とかなり早い段階でなり、しかも全くその通りという映画。『ユージュアル・サスペクツ』と『ファイト・クラブ』に『ソーシャル・ネットワーク』をちょっとまぶしたのが映画の9割近くを占めるという、『ユージュアル・サスペクツ』と『ファイト・クラブ』ってかなり有名作品だけどそのまんまの内容でやるのは大胆というか逆に斬新なのかスーパー二番煎じというか。というかここまでまんまなのが清々しいのかもしれない。まんまなことを思いっきり突き抜けてすればいっそ清々しいゾーンに入る。

主人公の部屋に『ファイト・クラブ』のポスターが貼ってあり参考にしてますというのが分かる。また最後に仲間も彼女もちゃんといますというどんでん返しで、『ファイト・クラブ』まんまな映画かと思ったらそれをひっくり返すというのを『ユージュアル・サスペクツ』まんまなやり方でやるというので、『ファイト・クラブ』かと思ったらそれをひっくり返すという部分にオリジナリティーを感じなくはないが、でも『ユージュアル・サスペクツ』まんまだし。

最後の角砂糖は人は見たいものしか見ないというので、主人公は多重人格で仲間は脳内に創り出された実在しない人間というのを見たいというかそこへ視線誘導されており、手品と同じ手法を使って騙していることを仄めかしている。
ハッキング描写やダークウェブでのやり取りはパソコンカタカタだけだと地味だと思ったのか、電車内での疑似舞台劇みたいなやり方で抽象化していたけど中二くさいが、マスクにADHD的なキャラクターにドラッグにって皆が観たい安心と安定のテンプレハッカー像を惜しげもなく提示してくれる照れのなさとサービス精神がある。照れのなさに関しては、まんま『ユージュアル・サスペクツ』と『ファイト・クラブ』の内容なのも照れのなさがないと無理だと思うし、照れのなさは武器であると感じる。
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