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あんのkojikojiのレビュー・感想・評価

あん(2015年製作の映画)
3.7
No.1649 2015年
樹木希林の遺作。
それを暗示するような映画だ。
樹木希林の一言一言が、演技が、遺言のように心に響いてくる。まさか監督はそれを意識したのではあるまいが、運命とは、時にこんなことを用意する。不思議だ。

 どら焼き屋「どら春」の店長千太郎(永瀬正敏)は決してこの仕事に満足しているわけではない。
単調な日々を過ごしていた千太郎の元に、ある日、その店の求人募集の貼り紙をみて、そこで働くことを懇願する一人の老女、徳江(樹木希林)が現れる。しかし千太郎は無下に彼女の願いを断る。ところが彼女が食べて欲しいと残していった「あん」を食べた千太郎は、そのうまさに魅了される。彼女のあん作りは実に丁寧なものだった。その「あん」が功を奏し、店は行列ができるほどの人気店になる。しかしそれも束の間、徳江は重大な秘密を抱えていたのだった。そんな徳江を雇う千太郎にも重い過去がある。
 仏頂面の永瀬正敏がなかなかの味を出して泣かせる。彼は若い時から演技派で売ってきた役者と思うが、なんだか久しぶりに彼の独特の演技を堪能した。

 ここまで重い話にする必要があるのだろうかというぐらいのテーマを持った映画だ。
まだ小さい頃、この病気のことを聞かされた時の衝撃が蘇る。もちろん接したことはないが、言い伝えのように誰からともなく聞かされていた。しかし正面切ってそれをテーマにした映画は初めて観た。

それにしても、徳江が作る「あん」の美味しそうなこと。何か小豆が立って、一粒一粒主張しているように見えた。このどら焼きは絶対に美味しいだろう。

ところで、私は、これからしばらく、私のフォロイーさんの評価の高い映画で、観たことがない映画、全く知らなかった映画を観ようと思っている。まあ、新しい企画だ。
 先日、対象となる作品をピックアップしてみた。すると素晴らしいラインアップかわ出来上がった。春はしばらく楽しめそうだ。因みにこの「あん」もその一つ。

この映画に5.0の評価をつけられているのは、
・mikaさん
・Morohashiさん
・LEOさん
・hisaukさん
・hideさん
・sonesoneさん
だ。
ありがとうございます。勝手にclipさせて頂きました。^_^
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