Kuri

怒りのKuriのレビュー・感想・評価

怒り(2016年製作の映画)
3.8
李監督前作の"悪人"、納得しかねる作品だったので少し手が伸ばしにくかったのですが、初めのショットからずっと惹きつけられました。

前作は後半話が大きくなってからのリアリティラインが前半と繋がらない気がして白けてしまったのですが、
今作でも記号的な不幸要素や漠然とした悪役設定に振り落とされそうになる瞬間はありますが、
豪華絢爛な俳優陣を的確に配した演出に引っ張られて、ずっと緊張の糸が切れないままで2時間強の群像劇を駆け抜けていきます。

Believe とforgiveのやり取りのチグハグさに苦しくなりますが、それでも登場人物達はちゃんと生きてて、これからも生きてくことはわかって、これこそが映画だなーと。
宮崎あおいさんと広瀬すずさんの眼差しが見つめる先に不確かながら未来があるのが感じられました。

ただ、思い返すと劇中での二つの殺人動機がどちらも理解しかねることが、モヤモヤ。
そして、怒りとはどこに向かう感情だったのかも、自分にはよくわからないままでした。

モンタージュ写真の見事さ、誰にでも見えてしまう微妙さには笑ってしまいますね。
Kuri

Kuri