J四郎

怒りのJ四郎のレビュー・感想・評価

怒り(2016年製作の映画)
3.8
この映画は出演者がとにかくゴージャス!
主演の渡辺謙をはじめ、今が旬のキャストをズラリと揃えている。
チョイ役まで含め主役級が並んでいて、言うなれば邦画の四番バッターを何人も並べたような強力打線ってところ。

そんな現時点でのスターが集った映画ではあるけど、華やかなもんではない。
むしろ、それぞれの輝きを汚し塗装でもしたかのように出来る限り地味ぃ~に仕上げたって印象。
監督の意図は知らんけど、演技力で勝負せいって事なんかな?
演技派が何人もいるのでそこに関しては見応えがありました。

音楽も素晴らしいやん~と思ってると、エンドロールで坂本龍一と判明。

ストーリーは八王子での殺人事件をやらかした犯人が逃走中で、そいつは整形もしてるもんだから今の顔もハッキリわからない。
3つの場所での独立した3つのストーリーが流れるように進行する。
そのため時間は長いもののテンポは良い方。

劇中には三人の怪しげな若い兄ちゃんが登場する。
それぞれ素性が怪しく、殺人犯と身体的特徴も合致する部分があってラストまで誰がクロか分からんようになっている。
このミステリー要素は最後まで興味を引っ張って面白かった。
それって原作小説がよ~く出来てるってことなんやろね。

そういえばピエール瀧がチョイ役で出てくるんやけど、まさかコイツが裏で糸を引いていて、ぶっこんだんでは・・と一瞬思った。が、そんな斜め上過ぎる結論は流石になかった。

元ネタとなった例の事件の報道のあり方や、沖縄の基地問題やら物議を醸しだしそうな問題も出てくるけど、それほどしつこくは取り上げてない。そこはかえって良かったかも。(深読みすれば・・な部分はあるが)
ただ、このお話は終盤の展開がどうもチープなんよな~。
なんかヘンだな?と思って鑑賞後に調べると原作から脚色が加えられていた模様。
そういや、この監督の前の作品である「悪人」も途中まで良かったのにラストでショボいものに変化していた。あれも原作からの脚色ありきみたいだし。

この監督って出演者の演技力を引き出す力は相当あるのに、ヘンなアレンジを加える癖でもあるのか?
まあ、人によってはあの展開でもイイ!って方もいるかも知れないが。
僕はそこはちょい白けた。この人とは思想的にもお友達になれそうにない。

文句は言いましたが好き嫌いの範囲内です。演技も映像もストーリーも映画としての水準はかなり高いので、見て損はないと思いますぜ。
J四郎

J四郎