とぬお

怒りのとぬおのネタバレレビュー・内容・結末

怒り(2016年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

とにかく沖縄編が一番キツイ(まあ犯人がいたからというのもあろうが)。
個人的に広瀬すずは前々からその透明感とか顔の感じで見ると姪っ子(7歳)を思い浮かべてダブらせてたので、レイプのシーンはマジで米兵に対する憎悪が膨らんで見ていられなかった。
結局、そこの問題に関しては何も解決していないし、同じことは実際に(認知されていないであろうものも含めて)それなりに起こってるという現実を突きつけられて神妙な気持ちになった。
しかし一番キツかったからこそ、一番演技が光っていたのが沖縄編のキャスト三人だった。
さすがの森山未來はどクズ狂人がめちゃくちゃハマっていたし、広瀬すずはレイプシーン以降ほとんど出てこないんだけど、ラストの海に向かってめちゃくちゃに叫んだ後、ドキッとするくらいの強くて凛とした表情で希望を持たせてくれた。そして私が今回いちばん賞賛したいのが、タツヤ役の佐久本宝!!素晴らしかった。もうほんっとに普通〜の沖縄の高校生。いずみを守れず苦悩し、信じていた田中に裏切られ、衝動的にハサミを手に取ってしまう…誰だって追い詰められたらこうなっちゃうかも、と思わせるリアルな演技。調べたらアカデミー新人俳優賞取ってた。そりゃそうだ!もっと色んなの出てほしい。

ほかはやっぱり宮崎あおいですね…あの役、他にやれる人いないと思う。

なんというか、3つのストーリーの中で、誰かしら共感する部分があると思う。
私は広瀬すずで姪っ子を思い出して佐久本宝のどうにもならない重苦しさを一緒に感じていたし、渡辺謙が宮崎あおいを心配するところで父親を思い出したし、妻夫木聡がホスピスを訪れるシーンで自分の母親もいずれはこういう状態になるかもという未来に切なくなった。

そして、こんな映画見ると余計にだけど、当たり前に人を信じて一緒に生きるって、実はめちゃくちゃすごいことで難しいのでは?と思ってしまう。

あの後、タツヤといずみがどう生きるのかはわからないけど、希望のある未来だといいな、という余韻でしめる。
やっぱみんな幸せになろうぜ…


了。
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