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怒りのこどものレビュー・感想・評価

怒り(2016年製作の映画)
4.0
衝動。何かを貪るようにナイフで「怒」の文字を刻む。あれはもはや人の姿じゃなかった。衝動のままにという言葉が本当にピッタリだ。
飢えに渇いた獣が獲物にむしゃぶりつくように、激しい男女の交わりのように、ただ本能のままに「怒り」を貪る。
彼は何に怒っていたのか?「怒り」について考えていたら、「怒り」だけがほかの感情とは別の出どころからやってくるような感覚に気がついた。そう、感情というより「感覚」に近い。体の芯から飛び出すような...
歓びも悲しみも、何か出来事に対する反応でしかない。反応だからすぐに消えてしまう。「怒り」は違う。「怒り」は消えない。永遠に在り続ける「怒り」が、なにかのタイミングでひょっこりと顔を出すのだ。「怒り」が消えることは無い。見えなくなったとしても、体の中に戻っただけだ。私の中にも、彼と同じような「怒り」がきっと存在するのだ。その事が何より怖い。
今は眠る衝動に目覚めないことを祈る。
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