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怒りのmorukoのレビュー・感想・評価

怒り(2016年製作の映画)
3.6
ある夏の暑い日に八王子で夫婦殺人事件が発生。
現場には「怒」の血文字が残されており、犯人は行方をくらました。
事件から1年後・・・千葉、東京、沖縄に素性の知れない3人の男が現れたが、彼らは警察が新たに公開した顔写真に似ていた。
弱さ故の己への怒りを3つの大きな異なるエピソードという糸をしなやかに編み上げた構成です。

その物語を、坂本龍一が作り出したピアノと弦楽器による壮大なBGMで、そっと寄り添うようにキャストの心情をうまく表現したことで生まれるカタルシス。

そして最後に迎えるキャストの様々な表情に胸をえぐられるような感覚でした。

ただ、顔のドアップ連発はあまり好みでなく。
ここ感情こみ上げてくるとこだぞ!と言われてるような圧の強さに、2時間半という上映時間の中で何度も感じてしまうしつこさに少々嫌気がさしたことも事実。

後ろ姿を映して回想シーンを挟むことで今の心境を感じ取れた妻夫木聡のシーンはうまいなぁと思ったので、直接でなく間接的に心に訴えるシーンがあればもっと疲弊せずに見られたのかなぁと。

妻夫木聡と綾野剛の濡れ場は、見てはいけないものを見てしまったという罪の意識さえ芽生えてしまう展開でした。

役者って凄い。
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