わたP

恋人たちのわたPのレビュー・感想・評価

恋人たち(2015年製作の映画)
5.0
えー、開始2分で泣きました。おそらく涙史上最速記録。
重い悲劇を負った主人公のひとりである篤が、誰かに話す用の独り言を言うシーンから始まって、彼の荒れた生活を表す部屋が映され、ざっとあらすじだけは知ってから鑑賞したのですが、彼の負った悲劇の不条理さ、それから橋口監督のぐるりのことが大好きな日本映画のひとつであって、その非情さを描きながらも優しい作風、あとはなんと言っても、恥ずかしながら僕も篤と同じ癖(彼のは癖じゃないけど)があって、いつの頃からか、絶対に誰にも聞かれないであろう状況で、同じ様に誰かに語りかける様な独り言を良く言ってしまうのです(めっちゃキショいですよね)これが開始2分ぐらいの間に巡り巡って僕の涙腺はもう崩壊してしまいましたよね、めっちゃキショいですよね!

ただこの映画、泣けることが素晴らしいのじゃなくて、泣ける部分以上に笑えるシーンが多くて、劇場でもしょっちゅう笑い声が上がるくらいの場面がありました。
不条理な現実、救いのない現実の中にあるクスリとしてしまう行為やセリフなんかがただ鈍重なだけでない映画に仕上がっていて、ただただ、良い映画を見ている!という気持ちになりました。
ラストで冒頭にあった独り言で主人公それぞれのクライマックスを迎えるのもまた爆泣き!

それから誰かに傷つけられた人物が、また誰かに傷つけられてしまうという連鎖がとても上手くて、群像劇のこんな使い方があるのかーと感心するほどでした。
そんな事もあって、劇中に嫌な奴は沢山出てくるんですが、どの人物も背景にはそんな苦悩してる部分があって、こういう態度を取ってしまうんだなあと思い、嫌いにはなれなかったです。あ、あのリリーさんがやってた怪しい先輩以外。

橋口監督のレア感がこの評価の高さの要因でもあるかとは思いますが、それでも並の邦画を易々と越える映画力にひれ伏したくなるくらいです。ワークショップから出てきた無名の主演陣も凄すぎる!篤大好き過ぎる。
黒田さん(彼は著名な俳優ですが)が良い人過ぎる!あんな大人になりたい!あれ現実世界だと蛭子さんくらいでしょ、綺麗な蛭子さんでしょ

唯一ちょっとやり過ぎかなあと思ったのは、ラストの安藤玉恵の写真はいかにも笑ってください感が強くてニュースの音声とかだけでよかったんじゃないかなあと思ってしまいました。ただ安藤玉恵の出番は全て最高に可笑しいので、必見です!

それでも余裕で満点でしょ!間違いなく邦画ベスト!
この映画で語られるこんな不条理で答えのない現実がある世界でも、きっと光る瞬間があるということを、ちゃんとこの映画自体の出来が証明しています
そして、人を傷つけるのも人なんだけど、それを癒すのもまた人なんだと、日頃つまらない世の中だなあなんて考えがちだけどはっきりと思えました。
これ書いててまた泣きそうになった、大好きだ!!!