らんらん

女優と詩人のらんらんのレビュー・感想・評価

女優と詩人(1935年製作の映画)
4.5
売れない詩人月風は女優をしている妻の稼ぎに頼った暮らしをしているので肩身がせまい
エプロン姿で炊事洗濯までこなす主夫ぶりを見せる
そんな状態でもこの家の主人であるという自負があり、友人藤原釜足を居候させることを独断で決めてしまう
それを知った妻と月風の間で喧嘩が起こるのだが、、、

監督は成瀬巳喜男なんですが、何故か清水宏だと思って見てしまった
タイトル的に「按摩と女」みたいだし、ほのぼのユーモアのある内容もそれっぽい
成瀬巳喜男の作品はドロドロ、不幸なお話なイメージしかないからなんか意外、そういえば成瀬の戦前の作品ってあまり見たことない

そんな感じで特に予備知識もなく見始めたんですが、クレジット見ても脇役の藤原釜足、三島雅夫しか知ってる役者さんがいない
藤原釜足はなかなか印象に残る役でキーパーソン、三島雅夫は冒頭いきなり登場するけど出番ほとんどなし(両者ともかなり若いはずだけどほとんど戦後と変わらない容姿)

主演の方は宇留木浩というらしい、翌年死んじゃってるらしく戦前の映画あまり知らないので存在を知らないのも仕方ない
ヒロインの千葉早智子も初めて見た、調べてみると短期間だけど成瀬巳喜男の元奥さん!
この方も活動期間が戦前までみたい
お二人ともなかなか魅力のある役をされてます、まだまだ知らない役者さんいっぱいいるもんですねー

お隣の夫婦三遊亭金馬と戸田春子もすごく良かった!特に戸田春子のこういうおばちゃんいるよね!感が上手い!なんとなく三崎千恵子っぽい

ストーリーも面白かったし、出演者の皆さんが魅力的な映画
なんか素直にレベル高い!って思えて、個人的には満足感が高かったです
ところどころサイレントの名残を思わせるようなシーンもあって、そんなところもある意味新鮮で良かった

終始安心してみていられる、そしてニヤニヤ見ていられる幸せ感、こういう映画好きなんです
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