TAK44マグナム

クリード チャンプを継ぐ男のTAK44マグナムのレビュー・感想・評価

4.9
あのロッキーが盟友アポロの息子のトレーナーとなってチャンプを目指す・・・!
「ロッキー・ザ・ファイナル」で完結したはずの物語が、新たな主人公を得て再び紡ぎだされました。

ドラゴとの壮絶な試合で命を落とした伝説のチャンピオン、アポロ・クリードに隠し子が!
父の死後に生まれたため、父の事を知らずにいた少年アドニスの元へ、「家族にならないか」と、アポロの妻メリーアンがやってくるところから物語は始まります。
やがて成長したアドニスは、メリーアンの反対もあってボクシングの道へは進めずにいましたが、やはり血は争えません。
どうしてもアポロの背中を追ってボクサーになりたいアドニスは家を離れ、ひとりフィラデルフィアに向かいます。
そこには彼に必要な人物がいるからでした。
その人物の名は、ロッキー・バルボア・・・!


うおおーーーーーーーーーーっ!!!
な、なんて熱いんだ!!
熱すぎて、熱すぎて、こんちくしょー!!ですよ!!

もうね、涙なくては観られませんよ、これは!
「ロッキー」シリーズをまったく知らないと、普通のサクセスストーリーにしか感じられないかもしれませんが、今までのシリーズを観ているなら間違いなく感慨深いものがあるでしょう!
勿論、シリーズ未見の方にも、年齢の離れた師弟の愛情など感動できるポイントはいくつもあるので是非、観てほしいと思います。
個人的には4か所は号泣ポイントがありましたが、序盤のプロジェクターで映し出されたアポロの動きに合わせてアドニスがシャドーボクシングする場面で、早くも泣いてしまいましたよ!

「ロッキー・ザ・ファイナル」もそうでしたが、思わず二ヤリとさせられてしまう過去作のオマージュが満載で、テーマも一貫してボクシングを通じて「人生も悔いなきように闘え」とうったえ続けています。
「あの場所」でのラストシーンも、当然、号泣ポイントとなり
ました。

本作のロッキーは、まともにミット打ちの相手も務められないほど老いてしまっています。
義兄のポーリーも既に亡くなり、息子ロバートも遠く離れて暮らしていて、かなり寂しい状況。
そんな時に、あのアポロの息子が訪ねてきて「ボクシングを教えてほしい」と頼んでくる・・・一度は断ったロッキーですが、ふつふつと湧き上がる情熱を押し殺すことは出来ないのでした。
エイドリアンとポーリーの墓前で、ひとり新聞を広げるロッキーの姿も泣けて、泣けて・・・

物語の下敷きは、ほぼ一作目の「ロッキー」であり、アドニスの元に世界戦のチャンスが舞い込みます。かつてのロッキーがそうであったように。
そして、ロッキー個人にも乗り越えなければならない「ある戦い」が降りかかるのです。
ここから、アドニスとロッキーが師弟を越えて「本当の家族」となり、二人の挑戦がドラマチックに始まります。

劇中、何度かアドニスの試合シーンがありますが、特にクライマックスの世界戦の臨場感は半端なく、本当にボクシングのテレビ中継を観ているかのような錯覚をおこすほどで、「ロッキー・ザ・ファイナル」以上にリアルな、ポテンシャルの高いファイトシーンとなっております。
昨今の撮影技術とか機材って本当にすごい。
かなりの長回しカットもあって、カット割りで誤魔化すような真似をしていないんですよね。
あと、あわやドクターストップか!?という場面で、止血担当のカットマンが見せる裏技とか、細かいディティールも凝っていて良いです。

監督はまだ若いんですけど、たぶん誰よりも「ロッキー」に思い入れのあるであろうスタローンも、この出来映えなら満足なのではないでしょうか。
スタローン自身も、ものすごく気合いがはいっているのが分かるし。
アドニスのランニングに、けたたましい爆音のバイクがたくさん伴走するシーンは「??」でしたけれど、あれはアドニスがフィラデルフィアの人間と認められた象徴的なシーンなのかもしれないし、ロッキーが街の人々と一緒に走る懐かしのシーンを現代的にリファインしたものなのかもしれませんね。

アドニスを演じているのは「クロニクル」「ファンタスティックフォー」のマイケル・B・ジョーダン。
「クロニクル」を観た時は特に何も感じなかったのですが、いやはや、良い役者さんじゃないですか。
お話が進むにしたがって、段々とアポロに似てくるんですよね。メイクもあるのかもしれませんが、アポロを演じたカール・ウェザースに顔つきや表情がそっくりに見えました。
特に、目が似ているような気がしましたね。
確かに親子だなと思えて、説得力が増しましたよ。
この役者さんは、これからもっとくるんじゃないかな?

当初、「クリード」の名が知れるのを嫌がっていたアドニスは、「自分は過ちから生まれた存在ではない」と証明するために絶対のピンチから立ち上がります。
アポロやロッキーが戦ったリングという場所で、アドニスもまた、その魂を受け継ぎ戦うのです。
これで燃えなくてどうするんですか!
現実は色々と厳しいですが、何とか乗り越えるために頑張ってやろう!と思える最高のドラマじゃないですか!

2015年の洋画は人気シリーズの続編ラッシュで本当にお腹いっぱいでしたが、そのトリを飾る本作は、それまでのアレやコレを凌ぐ勢いの感動作でした!
スパイも、恐竜も、フォースも出てきませんが、ロッキー・バルボアがいます!
そんな彼のファンなら尚更のこと、オススメです!


劇場にて