ブタブタ

ボーダーラインのブタブタのネタバレレビュー・内容・結末

ボーダーライン(2015年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

本来なら「う~ん考えさせられる。本当にこんな酷い話が決してフィクションではなく現実にあるとは( `・ω・) ウーム…」とならねばならない所かも知れませんが正直な感想としては

『エイリアン2』✖️『仁義なき戦い』✖️『パニッシャー』

位面白かったし燃える要素満載の映画でした。

FBI女性捜査官が対麻薬カルテル特別捜査チームに加わるもどうにもならない。
そこは地獄巡り冥府魔道で「地獄へ行くぞ大五郎」の拝一刀子連れ狼とか化け物レベルの人達がウヨウヨしてる世界で状況的に普通の人間には無理なので主人公といえど何の活躍もしない出来ない。

言っちゃ悪いですけど一応主人公ケイトみたいな主人公は本当によくあるタイプのステレオタイプのキャラクターで普通なら成長するなり何なり多少の見せ場や反撃シーンはある筈ですがここまでコケにされてケチョンケチョンのまま終わるお話しも珍しいです。

五社英雄監督が『十手舞』で主演の石原真理子を「女の腐った様な女」と評して出番を大幅に削ったらしいですが、劇中のケイトは正にそんな感じ。(すみません)

役立たずの一応主人公ケイト(エミリー・ブラント)はあくまでも傍観者でしかなく観客の視点の側に立ってアレハンドロ(ベニチオ・デル・トロ)&マット(ジョシュ・ブローリン)と我々の間に1枚噛まされている「境界線」(←タイトルですがこの邦題はちょっとダサい感じが( •́ε•̀ )原題の『殺し屋』のがクールかつカッコ良いです)になっているのだと思います。

見る前は何でこの手の映画って主役(でなくてもメインキャラとか)を女にしちゃうんだろう(不満( •́ε•̀ ))とか思ってたんですが、そんな考えは吹き飛ばすほどあの役は男でも女でもそんな事どうでもいい位「何も出来ない、見てるだけ」の観客の代表としてあの世界にポツンと置かれている、又は置いてけぼりにされちゃってる「役に立たない、お前要らん」感は半端ないですし、これが今迄の映画だと最後は成長して「あたいもやったるでーψ(`∇´)ψ!」と見せ場はちゃんとあるんでしょうけど、(劇中の)現実はそんな甘いもんじゃなくて最後の最後まで酷い目に合わされ救われないしここまで「役立たず」で終わるのかと、ある意味清々しいです。

最後にアレハンドロぶっ殺すとかも結局出来ませんし。

CIA工作員マットと実はコロンビア麻薬カルテルの殺し屋アレハンドロの地獄コンビにいくらFBIといえどケイトが入り込む余地なんて微塵もないですし、ケイトはキチガイだらけのこの劇中世界で唯一の「マトモな人」でもある訳ですしケイトが居なかったら本当に違う映画になってました。(そっちの方が見たかった)

それこそ復讐に燃えるアレハンドロ無双のリベリオンとかパニッシャーの超残酷バージョン的な。

『人魚伝説』で主人公の海女さん・みぎわ(白都真理)が殺された夫の復讐で銛でとにかくぶち殺しまくるのですが、通りがかった目撃者とかパーティー会場のたまたま其処にいただけの人まで殺しまくっていた狂気具合いに匹敵する、あの映画位無茶な人はそうそういないのですけど、アレハンドロはみぎわさんと同じく徹底してると言いますか「動物と子供を殺す」は絶対やってはいけない、と言うかソレをやるのは常に悪役サイドで少なくとも主人公サイドの人は普通はやらないと思うのですけどアレハンドロの壮絶な復讐はそんな事お構い無しでカルテルボスも殺すその奥さんと子供も殺すってパニッシャーですらそこ迄しないでしょうに(笑)って凄い驚いたのとこれ位やる徹底した人はそうそう見れないので「いいものを見た」と感動しました。

因みに『デアデビル』でパニッシャー役のジョン・バーンサルさんが酷い目に合う役で出てます。

麻薬カルテルのアジトのトンネルへの突入は「地獄巡りライド」の最高潮の場面ですし「地獄へ行くぞ大五郎!」な冥府魔道此処に極まるみたいな、暗視スコープやフル装備の特殊部隊、カメラの映像など正に『エイリアン2』でのエイリアンに巣に入って行く宇宙海兵隊のシーンを彷彿とさせました。

タイトルは本作が『殺し屋』で続編は『兵士』との事で正に「今度は(も)戦争だ!」てな感じで監督によると次はケイトみたいな邪魔者(笑)なしでアレハンドロ&マットの地獄コンビメインの阿修羅地獄が繰り広げられるみたいで楽しみです。
ブタブタ

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