たぶん、この作品は賛否両論だろうな。いや「 否」のほうが圧倒的に多いかな。そういう自分はというと、やはり「賛」だろうな、こういうヘンタイ映画は。
物語はあるようなないような、とにかくストーリーはあまり進まない、というかあまり重要ではない。ジョージア州の田舎からロサンゼルスに出てきた16歳の少女が、モデル業界でその美しさを認められ、羨望と嫉妬の渦の中に投げ込まれていくというお話なのだが、最後は彼女を妬む同業のモデルたちによって追い詰められていく(このあたりをくわしく書いてしまうとつまらなくなってしまうので)。
主人公ジェシー役のエル・ファニングがあまり好みのタイプでないせいか、彼女がカメラマンやデザイナーたちからひと目で賞賛される理由がわからない。背が高いわけでもなく、抜群のスタイルを誇っているわけでもなく、まして人を惹きつける魅力を放っているわけでもない彼女が、どうしてあれよあれよというちにキャリアを得ていくのか、どうしても納得できなかった。
むしろ彼女に嫉妬するモデルたちのほうが、かなり悪魔的魅力を感じさせるのだ。まあ監督のニコラス・ウィンディング・レフンはそういうことも承知の上で、このエル・ファニングを主役に起用したのだろうが、ここがいまいち両手を挙げて「賛」に入れ込めないところなのだ。
ただ音楽と映像は素晴らしく、いきなりオープニングからこの作品世界に入り込んでしまった。ちなみにラストの歌曲もまたかなり印象的で、本編の唐突な幕切れもこれで許せるかもしない。
まあ、嗜好的にはジョルジュ・バタイユあたりも思い起こさせるのだが、自分的には次に何が起こるのだろうと、終始期待して観ていたので、「賛」に1票を入れたい。
関係ないが13日の金曜日に観る映画にはふさわしい。